前節に引き続き,テキストモジュールの要素を解説していく。
address
要素 address
要素は,文書の署名や連絡先などを書くための要素である。
(#PCDATA | %Inline.mix;)*
属性名 | 属性値 | 備考 |
---|---|---|
コア属性 | ||
style 属性 | ||
国際化に関する属性 | ||
イベント属性 |
たとえば,次のように使用する。
<address>Presented by Studio HEXANE<br />E-mail: <a href="mailto:hexane@tg.rim.or.jp">hexane@tg.rim.or.jp</a></address>
Let's begin XHTML の Section 10 で述べたように,メールアドレスを公開するときは,スパムメールの餌食にならないように注意されたい。
pre
要素 整形済みテキストは文字どおり,“その形で整形されたテキスト”である。これを表すための pre
要素は,通常の XHTML ソース中では意味を持たない,空白文字(たとえば,半角空白や改行)が意味を持つとして処理する。この要素は,ブロック要素である。
内容モデルは基本的には“テキストとインライン要素”であるが,テキストの体裁を大きく変化させる要素,画像・オブジェクト,フォーム,ルビが除かれている点に注意されたい。
(#PCDATA | br | span | em | strong | dfn | code | samp | kbd | var | cite | abbr | acronym | q | tt | i | b | bdo | a | script | map)*
big
,small
,sub
,sup
,img
,object
,フォーム,ルビ”を除くインライン要素属性は,以下のとおり。
属性名 | 属性値 | 備考 |
---|---|---|
コア属性 | ||
style 属性 | ||
国際化に関する属性 | ||
イベント属性 | ||
xml:space | キーワード | “preserve ”に固定される。明示的な指定は必要ない。 |
xml:space
属性は,XML の特殊な属性である。空白文字の扱いについて指定するもので,特に気にする必要はない。
pre
要素では,空白・改行は意味を持つので,空白はその数だけ出力されるし,改行も文字どおり出力される。多くのブラウザは,この要素を等幅フォントで,行末での折り返しを抑制して出力するが,これをスタイルシートで変更しても構わない。
pre
要素は,たとえば,(古典的な)アスキーアートを表示させるのに,また,空白が重要な詩,さらに,複数行にわたるコンピュータコードを出力させるのに使用される。たとえば,
<pre> (^-^)/
<| |
< <</pre>
お手元の環境では以下のような出力になる。
(^-^)/ <| | < <
ちなみに,要素について,そのスペースおよび折り返しに関わる CSS プロパティは“white-space
”である(Let's begin CSS の 4.1 を参照されたい)。また,特に“空白文字でない半角空白”(複数並んでいてもその数だけ出力される空白)は文字実体参照“
”を使用する(Let's begin XHTML の Section 18 も参照されたい)。
XHTML 2.0 では,複数行にわたるコンピュータコードを表すのに,blockcode
要素が導入される見込みである。
br
要素 br
要素は,インライン要素のひとつで,強制改行を表す。この要素は内容をもたない,空要素である。
属性名 | 属性値 | 備考 |
---|---|---|
コア属性 |
XHTML では,原則として(pre
要素の一般的な出力,またはスタイルシートで空白・改行を文字どおり出力させるよう指示した場合以外),ソース中の改行は反映されない。br
要素は,パラグラフ中などで,特に改行したい箇所を示す。これは空要素なので,空要素タグで書く。たとえば,
<p> いかりや長介氏の訃報を聞いた彼は,<br />「逆にさ,憎まれっ子は,世にはばかるんだよ」<br />と,伏し目がちにつぶやいた。</p>
出力例をご覧いただきたい。br
要素が,改行に置き換えられているのがわかるだろう。
いかりや長介氏の訃報を聞いた彼は,
「逆にさ,憎まれっ子は,世にはばかるんだよ」
と,伏し目がちにつぶやいた。
span
要素 span
要素は,div
要素と同じはたらきのインライン要素である。すなわち,特定の構造を表さず,文中の部分の特定の範囲にはたらきかける。内容モデルは,多くのインライン要素同様,“テキストとインライン要素”である。
(#PCDATA | %Inline.mix;)*
属性名 | 属性値 | 備考 |
---|---|---|
コア属性 | ||
style 属性 | ||
国際化に関する属性 | ||
イベント属性 |
たとえば,次のように使用する。
<p> 音声分析・符号化などでは,合成したものをもとの音声波形と比較しつつパラメータを決定していく <span xml:lang="en">Analysis by Synthsis</span> という方法が用いられることがある。</p>