テキストモジュールには,多くの要素が含まれる。ここで解説するのは,コンピュータ,略語に関するインライン要素である。
code
要素 code
要素は,その内容がコンピュータコードであることを示す。
(#PCDATA | %Inline.mix;)*
属性名 | 属性値 | 備考 |
---|---|---|
コア属性 | ||
style 属性 | ||
国際化に関する属性 | ||
イベント属性 |
これは,実例で理解していただこう。
<p> C 言語の入門は,<code>printf("Hello world!\n");</code> がおきまりである。それで,C++ では,<code>cout << "Hello world!" << endl;</code> になった。</p>
kbd
要素 kbd
要素(keyboard の縮約)は,その内容がコンピュータへの入力,または入力すべきものであることを示す。
(#PCDATA | %Inline.mix;)*
属性名 | 属性値 | 備考 |
---|---|---|
コア属性 | ||
style 属性 | ||
国際化に関する属性 | ||
イベント属性 |
これも,例で理解いただこう。
<p> セッションの終了は <kbd>exit</kbd> とか <kbd>quit</kbd> とか入力するのが通り相場だが,FTP セッションに関しては,<kbd>bye</kbd> なのである。</p>
samp
要素 samp
要素は,その内容がコンピュータからの出力であることを示す。
(#PCDATA | %Inline.mix;)*
属性名 | 属性値 | 備考 |
---|---|---|
コア属性 | ||
style 属性 | ||
国際化に関する属性 | ||
イベント属性 |
これも,例を示しておく。
<p> 存在しないウェブページをリクエストしたときの“404”というのは,ウェブサーバが応答するときの先頭部分についてくる成功・失敗等を表すコードである。ブラウザを通すと隠蔽されてしまうが,telnet などを使ってウェブサーバに接続し,存在しないファイルを要求すると,見事に <samp>404 Not Found</samp> と冠された応答が返ってくる。</p>
var
要素 var
要素は,その内容が変数であることを示す。
(#PCDATA | %Inline.mix;)*
属性名 | 属性値 | 備考 |
---|---|---|
コア属性 | ||
style 属性 | ||
国際化に関する属性 | ||
イベント属性 |
これは,2 つほど例を示しておく。
<p> C 言語では,<var>n</var> について,“1 を代入する”とき <code>n = 1</code>,“1 であるか評価する”とき <code>n == 1</code> と書く。</p>
<p> telnet の書式は,<br /><code>telnet <var>host</var> <var>port</var></code><br />である。</p>
abbr
要素 abbr
要素は,その内容が(一般的な)略語であることを示す。たとえば,“January”を“Jan.”,“Limited”を“Ltd.”と省略する類である。
(#PCDATA | %Inline.mix;)*
属性名 | 属性値 | 備考 |
---|---|---|
コア属性 | ||
style 属性 | ||
国際化に関する属性 | ||
イベント属性 |
abbr
要素では,title
属性に,その語の略す前の形を書き込むことがある。
acronym
要素 acronym
要素は,abbr
要素に似ているが,特にフレーズの語の頭文字をとって略する語(
(#PCDATA | %Inline.mix;)*
属性名 | 属性値 | 備考 |
---|---|---|
コア属性 | ||
style 属性 | ||
国際化に関する属性 | ||
イベント属性 |
acronym
要素でも,title
属性に,その語の略す前の形を書き込むことがある。
ところで,日本語における略語であるが,これはさらに微妙な問題といえる。一般に,日本語の略語は頭字語のタイプとみなせるものが多いが,そのときに表意文字(=漢字)として 1 文字ずつ取られるという点が欧州言語との違いとなる。もちろん,それ以外のタイプの略し方(特に外来語の略語,たとえば“パーソナルコンピュータ”→“パソコン”)もある。一般に,略語のほうが広い概念であることと,下記注のように XHTML 2.0 で acronym
要素が消滅する見込みである点を考え合わせることがヒントであろう。
それで,abbr
要素・acronym
要素で略語を示す意義は,“それが略語である”ことを示すほかに,音声出力,自動処理にある。音声出力においては,その読みのコントロールに情報を供せられる。また,自動処理においては,たとえばサーチエンジンが“略語ともとの形を同じ語句としてみなす”ことができるようになる。
XHTML 2.0 では,acronym
要素はなくなり,その役割は abbr
要素に吸収される見込みである。使い分けが微妙である点が問題なのだろう。