Try next HTML の Section 3 で <EM> や <STRONG> など,文章中の語句にある役割を与える要素を解説した。ここでは,そのときあげた以外の“構造を持つフレーズ”を紹介する。
インターネットというコンピュータのただ中で育ってきただけあって,HTML には多数のコンピュータの入出力に関連した要素が用意されている。
<CODE>...</CODE>
文章中でコンピュータコードを書くときに用いられる。多くは,等幅フォントを表現手段とする。
<SAMP>...</SAMP>
プログラムの出力結果などを表すのに用いる。多くは,等幅フォントを表現手段とする。
<KBD>...</KBD>
ユーザの入力を表すのに使う。多くは,等幅フォントを表現手段とする。
<VAR>...</VAR>
変数を表す。多くは,斜体を表現手段とする。
これらを使った例をご覧いただこう。
<P>C 言語では,関数の引数は原則として値渡しである。関数 <CODE>f</CODE> に対して参照渡しを行いたいのなら,引数をポインタで,たとえば <CODE>float f(float *<VAR>x</VAR>)</CODE> のように定義し,呼び出す場合は <CODE><VAR>y</VAR> = f(&<VAR>x0</VAR>)</CODE> のようにポインタを渡す。</P>
<P>プロンプトに対して <KBD>ls -l</KBD> と入力すると,ファイルの詳細な一覧が表示される。たとえば,<BR><SAMP>-rwxr--r-- username group **** **:**</SAMP><BR>はじめの文字の羅列はアクセス権(パーミッション)を表している。</P>
C 言語では,関数の引数は原則として値渡しである。関数 f
に対して参照渡しを行いたいのなら,引数をポインタで,たとえば float f(float *x)
のように定義し,呼び出す場合は y = f(&x0)
のようにポインタを渡す。
プロンプトに対して ls -l と入力すると,ファイルの詳細な一覧が表示される。たとえば,
-rwxr--r-- username group **** size **:**
はじめの文字の羅列はアクセス権(パーミッション)を表している。
こういった要素は,インターネットの“大衆化”とともに見ることが少なくなった。
長い言葉が次々に略される昨今,それを表す要素も HTML 4 では用意された。
<ABBR>...</ABBR>
<ACRONYM>...</ACRONYM>
この 2 つであるが,使い分けが問題である。<ABBR> は通常の略語で,January を Jan.,et certera を etc.,World Wide Web を WWW と略したりするものである。もうひとつ,<ACRONYM> はアクロニム(頭文字語)で,North Atlantic Treaty Organization を NATO,radio detecting and ranging を radar と略すものである。
はたして何が違うのか,とお思いになられたかもしれないが,アクロニムはそれ自体が1語のように発音されるものが多いという特徴がある,といえば何となくおわかりになるのではなかろうか。Jan.,etc. はもとの単語どおりに発音され,WWW はもとの単語のとおり発音されるか,もしくはスペルをそのまま“ダブリュー ダブリュー ダブリュー”と読む。ところが,NATO はそれがあたかも 1 語のように“ナトー”で,“エヌ エー ティー オー”とはまず読まない。radar などはそれがアクロニムであるなんてなかなか気づかないほど“レーダー”で 1 語化してしまっている。
それではこれは何のため,と思われるかもしれないが,次のような利用法が示唆されている。
<P>コンピュータの心臓部である <ABBR>CPU</ABBR> は,命令セットの作り方によって <ACRONYM>RISC</ACRONYM> と <ACRONYM>CISC</ACRONYM> とに分けられる。</P>
コンピュータの心臓部である CPU は,命令セットの作り方によって RISC と CISC に分けられる。