Appendix C : 簡単な応用

 ここまでさまざまな属性や概念を個別に見てきたわけだが,“これができる”というだけで実際の応用には触れなかった。ここでは,簡単な応用例を通して CSS の使い方を感じてほしい。

目標とするデザイン

 ここでは,洋書の専門書などに見られるデザインを簡単に再現してみよう。このデザインの特徴は,

これに,若干のデザインを加えてみよう。

 それでは,CSS を作ってみよう。

CSS を作る

 まずは,<BODY> のスタイルは背景白,周囲に余裕。余裕は幅の 5% にしよう。

BODY { background: white; padding: 5%; }

“タイトル”は <H1> で書くとすれば,

H1 { text-align: center; font-size: xx-large; }

 本文はマージンは左にとることにして,これを <BODY> に入れると“概要”などに負のマージンを指定する羽目になる。したがって,“本文”の部分は大きく <DIV> でくくって,

DIV.text { margin-left: 15%; }

としたほうが都合がよかろう。<DIV> は汎用性があるから,後で拡張するときにおかしなカスケーディングが生じないようにクラス text をつけておいた。

 “パラグラフ段落のはじめは 2em のインデント」は簡単で,

P { text-indent: 2em; }

“概要”はクラス化しておこう。文字もひとまわり小さくする。

P.abst { font-size: small; }

 このとき,カスケーディングにより <P> の 2em のインデントも適用されることに注意。

 さて,本文中に入るであろう見出しのうち,<H2><H3> をそれぞれ“章レベル”“節レベル”としてマージンの外側へ出そう。そのためには負のマージンを指定しなければならない。<H3> については,その半分程度まで戻せばよいだろう。

H2 { margin-left: -15%; }
H3 { margin-left: -8%; }

 章レベルの <H2> には,背景色と枠を指定する。背景は淡い水色,枠は上下のみで,左右は指定しないことにしよう。スタイルは二重線,色はそれよりやや鈍い色にしてみる。

H2 { margin-left: -15%; background: #CFF;
  border-style: double;
  border-width: medium 0;
  border-color: #9CC; font-size: x-large;
}

 <H3> には,下に青く細い線を引こう。

H3 { margin-left: -8%;
  border-style: solid;
  border-width: 0 0 thin 0;
  border-color: #33F; font-size: large;
}

 これで最初に上あげた目標はすべて満たしたことになる。結果,できた CSS は次のようになる。

BODY { background: white; padding: 5%; }
H1 { text-align: center; font-size: xx-large; }
H2 { margin-left: -17.5%; background: #CFF;
  border-style: double;
  border-width: medium 0;
  border-color: #9CC; font-size: x-large;
}
H3 { margin-left: -9%;
  border-style: solid;
  border-width: 0 0 thin 0;
  border-color: #33F; font-size: large;
}
DIV.text { margin-left: 15%; }
P { text-indent: 2em; }
P.abst { font-size: small; }

これをファイル化して <LINK> などで呼び出して使うことになる。このとき,HTML の <BODY> 部分ははこう組まれる。

<BODY>
<H1>...</H1>
<P CLASS="abst">...</P>
<DIV CLASS="text">
<H2>...</H2>
<H3>...</H3>
<P>...</P>
<P>...</P>
...
<H3>...</H3>
...
<H2>...</H2>
...
</DIV>
</BODY>

 この CSS をファイル化したものを sfcssamp.css としておくので,ダウンロードして上にならって HTML を書いてみよう。このとき,見た目に関係する HTML の属性は指定しないようにしよう。また,この CSS ファイルを使用して作ったサンプルの HTML ファイルも参考にされたい。

 次に CSS ファイルを改良してみよう。改良点としては,

などがあるだろう。

 IE3  外部の CSS ファイルでは <BODY> のスタイルが無効になることを再び注意しておく。