Synth Fantasy
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 こちらのページでは二十世紀のシンセサイザーと電子音楽の歴史について簡単にまとめ、略年表にしてみました。
 右の写真は、一見すると旧式の大きな電話交換機のようにも見えますが、箪笥(たんす)でも電話交換機でもなく、ロバート・A・モーグ博士(1934〜)が開発した、あのモーグ・シンセサイザーです。

 スイッチト・オン・バッハでおなじみのワルター・カーロス(ウェンディー・カーロス)や日本が生んだ冨田勲、冨田氏の弟子でもありイエロー・マジック・オーケストラではマニピュレーターとして活躍した松武秀樹、ロック界ではキース・エマーソン等も使用しています。

 冨田氏が1971年の秋にモーグIIIpを購入した際には税関で止められ、これが楽器であることの証明に大変苦労されたというエピソードもあります。

電子楽器と電子音楽の略年表 〜20世紀編〜


1950年代以前
電子音楽の黎明期

1906年  アメリカのタディウス・ケイヒルが、テレ・ハーモニウムを発明
1920年  ロシアのレオン・テルミン博士(1896〜1993)がテルミンを発明
1926年  ピアノラ
1928年  フランスのモーリス・マルトノがオンド・マルトノを開発
1929年  ハモンド・オルガン
1930年  ドイツのフリードリヒ・トラウトバインとオスカー・ザラがトラウトニウムを開発
1936年  ローレンス・ハモンドがハモンド・オルガンを開発
1937年  ドン・レスリーがレスリー・スピーカーを開発(回転スピーカー)
1941年  オンディオライン
1948年  ミュージック・コンクレート(テープ編集による具体音楽)
1951年  ケルン電子音楽スタジオ開設
1953年  シュトックハウゼンの世界初の電子音楽作品『習作I・II』(独ケルン放送局の電子音楽スタジオにて)
1953年  黛敏郎『X・Y・Z』
1955年  NHK電子音楽スタジオ設立(〜1993年)
1956年  アメリカのハリー・F. オルソンとハーバート・ベラーがRCAエレクトロニック・ミュージック・シンセサイザーMark Iを開発
1958年  日本ビクター ビクトロン発売(国産初の真空管式電子オルガン)
1959年  ヤマハ エレクトーン発売(国産初のトランジスタ式電子オルガン)


1960年代
電子音楽の発展期

1963年  メロトロン [ra](磁気テープ再生楽器)
1963年  京王技研(コルグ) ドンカマチック発売(国産初のリズムボックスで“ドンカマ”の語源)
1964年  シン・ケット
1965年  エレクトロニウム
1965年  ロバート・A・モーグ博士(1934〜)がモーグ・シンセサイザーを開発
1965年  ドナルド・ブックラがブックラ・シンセサイザーを開発
1968年  ワルター・カーロスがモーグIIIで制作したアルバム『スイッチト・オン・バッハ』を発売(グラミー賞受賞)
1969年  アープ・シンセサイザー


1970年代
アナログ・シンセ
の時代

1970年  アープ2500
1970年  ミニ・モーグ(Mini Moog)発売 (※当時は一般的にミニ・ムーグと言われていた)
1970年  大阪万博で武満徹、高橋悠治、クセナキスが曲を発表。
1972年  アープ・オデッセイ
1972年  冨田 勲『スイッチト・オン・ヒット&ロック』発売
1974年  冨田 勲『月の光』発売
1974年  クラフトワーク『アウトバーン』発売
1976年  EMSがStudio Vocoderを発売
1976年  ジャン・ミッシェル・ジャール『幻想惑星(OXYGENE1-6)』発売
1977年  ローランド マイクロコンポーザーMC-8を発売(デジタル・シーケンサー)
1977年  ジャック・クラフト&ラリー・アレクサンダーがアープ2600を使用したアルバム『1812年』を発売
1978年  シーケンシャル・サーキット社がプロフェット5を発売
1978年  喜多郎 LP『天界』発売
1978年  細野晴臣 LP『イエロー・マジック・オーケストラ』発売
1979年  ローランドがVP330を発売(※トキオ!でお馴染みのヴォコーダー)


1980年代
デジタル・シンセ
の時代

1980年  オーストラリアのフェアライト社がCMIを発売(デジタル・サンプラー)
1980年  ローランドがTR-808を発売(リズム・マシン) ※通称:八百屋(ヤオヤ)
1981年  E-MU Systems社がイミュレーターを発売
1981年  YMOがLMD649(※)を使用した世界初のサンプリング・アルバム『テクノデリック』を発売
      (※松武秀樹氏らが共同開発したサンプラー)
1983年  ヤマハが往年の名機DX7を発売(FM音源搭載デジタル・シンセサイザー)
1983年  MIDI規格の誕生
1985年  ATARI社が「アタリST」シリーズを発売(MIDI標準搭載の音楽制作に特化したPC)
1988年  コルグがM1を発売(ミュージック・ワークステーション)


1990年代
卓上音楽(DTM)
の時代

1991年  GM(ゼネラルMIDI)規格の登場(MIDI音色マップの統一)
1992年  ウェンディ・カーロスが25周年記念アルバム『スイッチト・オン・バッハ2000』を発売
1993年  ヤマハVL-1(バーチャル・アコースティック・シンセサイザー)
1996年  ヤマハがソフトシンセサイザーを発表
1996年  冨田 勲がCDエクストラ『バッハ・ファンタジー』を発売
1997年  ジャン・ミッシェル・ジャール『OXYGENE 7-13』を発売
2000年  ヤマハが音声合成技術VOCALOID(ボーカロイド)の開発に着手


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