Synth Fantasy
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イエロー・マジック・オーケストラに関するサイトは数多くありますが、その中でも未だに情報の少ないものがこのファースト・ライブに関する内容です。
こちらでは、ファン待望のYMOの幻のデビュー演奏についてお伝えいたします。

イエロー・マジック・オーケストラ幻のデビュー演奏

-- 東京・芝 郵便貯金ホール --

 1978年10月18日に東京・芝の郵便貯金ホール(現メルパルクホール)でFM東京「FM25時・サウンド・カーニヴァル〜シンセサイザー・ランド」(10/26、11/2の2週にわたりO.A)の公開録音が行なわれました。ゲストは冨田勲、イエロー・マジック・オーケストラ、バッハ・リヴォリューションです。YMO(注 : 当時この略称はまだ使われておりません)にとっては " 初ライブ演奏 " です。
 ステージの上は、上手右側に細野晴臣、下手左側に坂本龍一、中央少し奥に高橋ユキヒロのセットが置かれ、ちょうど三角形を成し、これにゲスト・ミュージシャンが加わります。YMOファンの間ではお馴染みのピンク・レディーのウォンテッドはこの時すでに演奏されています。ファースト・アルバムの「イエロー・マジック・オーケストラ」/細野晴臣版の発売が1978年11月25日ですので、このライブの価値がおわかりいただけるはずです。

YMO ファースト・ライブ インプレッション

-- 楽曲解説 : M.Toyonaga--

 YMOファンのM.Toyonaga氏による楽曲解説です。 ※ YouTubeへの試聴リンクを埋め込みました。

はじめに
 このファースト・ライブは、CD化されている紀伊国屋ホール版と演奏日が近い関係もあり、全体的な印象は良く似ています。ただ、紀伊国屋版よりも更にコンピュータの存在が薄く感じられ、手弾き感が強いこと、それから演奏テンポがゆったりとしている(オリジナル版と近い)ことで、演奏がやや丁寧である様に思われます。

 以下、紀伊国屋版と比較しつつ、各曲の印象を簡単にまとめてみました。(あくまで、個人的な印象です・・・)

Introduction /メンバー紹介 [ニコニコ動画]
 ユキヒロさんが、「パーカッション」と紹介されているのがとっても新鮮。
Untitled /タイトル未定の新しい曲 (注釈 : 後の“ビハインド・ザ・マスク”になる曲です。)
 紀伊国屋版よりもボコーダー音がはっきりしていて、なおかつセクシー。「グリーク・シアター」以降のライブでは、ボコーダー中はスネアは打たれていない(散開/再生ライブを除く)が、ここでは紀伊国屋版やオリジナル版と同様に打たれている。ラストのユキヒロさんのボーカルは紀伊国屋版といっしょだが、ほとんど聴こえない。

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Tong Poo /東風
 教授のキーボード音色(メインのメロディ)がちょっとおとなしすぎる気もするが、オリジナルばりのピアノ音(これはサポート・メンバの方か)やギター(香津美さん)の演奏がとっても素敵。間奏の細野さんのミスでドキドキしつつも、2コーラス目のイントロが壮大で鳥肌が立ちます。それにしても、オリジナルそっくりの中国女への渡りはライブ史上、唯一のものではないでしょうか。

La Femme Chinoise /中国女
 79年からのライブを彷彿させる様な、歯切れの良い音色が聴こえます。これは紀伊国屋版よりもイイ。

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未紹介の曲
 これはマッド・ピエロというよりは、ブリッジ・オーバー・トラブルド・ミュージックの変形というか、アレンジ版かと思われます。はっきりわかりません。(注釈 : “マッド・ピエロ”の演奏の前に、未紹介の曲が教授の手弾きシンセと香津美さんとで演奏されていた。紀伊國屋でも演奏されたこの曲は、ラヴェルのValses Nobles et Sentimentales: IV. Assez Animes /高雅にして感傷的なワルツ)

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Mad Pierrot /マッド・ピエロ
(注釈 :“マッド・ピエロ”のライブ演奏も貴重です。)

Simoon /シムーン
 ライブであったの?という驚き意外ありません。ほぼ、オリジナルとそっくりなイメージですが、中、後半の、ライブならではのアレンジが素敵です。ところで、シムーンのボーカルって誰でしたっけ?

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Wanted /ウォンテッド(指名手配)
 紀伊国屋版とほとんど同じですが、ベースが私好み。それにしても、これをYMOが演奏している所を映像で見てみたい。

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Firecracker /ファイヤークラッカー
 紀伊国屋よりも音色がきびきびしてて、断然いい。(紀伊国屋版と同様に裏で鳴ってる音がオリジナル版と同じなので、やや面白味に欠ける。)

最後に
 以上、えらそうなことを書かせていただきましたが、このファースト・ライブ、私のように20年近くに渡りYMO(特に初期ライブ音源)を追いかけ続けている中毒患者にとっては、鳥肌物の超お宝以外の何物でもありません。この音源、並びに他の未発表ライブ音源のCD化や、映像のビデオ化を心から祈っています。 例えば、「カルトQ」の演奏場所当て問題で79年のル・パラス「中国女」の映像が出題されたり、「フェイカー・ホリック」では数ある音源の中から収録曲を絞り込んでいるはずなので、他にも未発表物は結構ある様に思うのですが・・・。アルファ・ミュージックさん、お願いします。(YMOファースト・ライブ楽曲解説 : M.Toyonaga氏)


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