▼▽溢れだした想い▽▼

今日も『ARIA』は広い寝室に一人きりで寝ていた。
冷たい空気に包まれた室内で、ひとりベッドの上にうつ伏せになっている。
外には雪がしんしんと降っている。
少しはなれた場所は雲がないのか、大きな月が浮かんでいた。


マスターが出て行ってから3度目の満月


帰ってくると云っていた日からはすでにもう3日が過ぎていた。
『一体何があったのだろうか・・・。』
焦る気持ちを抑えながら、ひたすら主の帰りを待ちつづける『ARIA』

マスターが出かけていってからというもの、『ARIA』は何度も眠れぬ夜を過ごした。
日が経つにつれてだんだん慣れてきたはずの一人きりの夜の寝室だが、
予定日を過ぎても帰ってこない主に、次第にまた不安が高まる。


『マスター・・・』


虚空に向かって主を呼ぶ『ARIA』

その顔は疲れきっていて、目の下にはクマができていた。
『ARIA』は心配のあまりここ数日間、ずっと眠らずに主の帰りを待っていたのである。

だが、流石に限界がきたのか、知らず知らずのうちに『ARIA』は深い眠りに落ちていった。









『・・・リア・・・・アリア』



遠くで誰かが呼ぶ声がする。



『だれ・・・?』
暗闇に問う。


『アリア・・・』



声が近づいてきたかと思うとそこで目が覚めた。


温もりを感じる。
優しく誰かに抱きとめられているような感触

見上げるとそこにはずっと帰りを待っていた主がいた。

『マスターっっ!!』


『ARIA』は全身で主に抱きついた。

『・・・マスター!マスター!!』

胸にしがみつきながらひたすら主のことを呼びつづける『ARIA』

そんな『ARIA』の頭を優しく撫でながら
『ただいま・・・『ARIA』』と、帰りの挨拶を告げる。


『ARIA』はそこでハッと我に返り
『おかえり・・なさいませ・・・。』
と、慌てて出迎えの挨拶をする。


思わず取り乱してしまい、恥じらい顔の『ARIA』に苦笑しながら主が云う。

『ごめんね・・・遅くなって』


『ARIA』はまだ少し照れたような顔で俯いている。


『いえ・・・ご無事で何よりです・・・。』
『留守中・・・、何も異常はありませんでした・・・。』


できる限り主に顔を見られないように俯きながら話す『ARIA』の仕草があまりにも愛らしくて、
またそっと『ARIA』を抱きよせる主

その行動にただ身を任せる『ARIA』

そして

月明かりに照らされながら、二つの影は1つになった。