ー収録作品ー
序詞 道化の歌
星降る夜の綱渡り
鉄の鎧と火薬の子
早秋の夢
夜出る魚達の船
消えない虹
月夜に踊って
交響詩「蓮の笛

挿し絵・装丁 間瀬きわみ
 

表紙 リンゼイ・ケンプ

扉絵
  ケンプ氏は「フラワー」「真夏の夜の夢」等の舞台で世界中を魅了した奇才アーティストです。
D・ボウイの「ジギー・スターダスト」の演出も彼です。
【星降る夜の綱渡り】
【少年道化のクレジオが空に登って行く物語・・・・どうやって!何故?】
どこまでも続く藤色の空の下、野原の一本道を、トテテ、トテタ笛や太鼓を鳴らし、ユリゴト、ユリゴト荷馬車は揺れて、、サーカス一座が旅をしていました。
「この光の綱はどこまでほどけて行ってしまうのかな。」
不安になってクレジオは紫の星を見ました。(本文より)
【早春の夢】
 空気はキシキシと音をたてて氷のようにひびわれました。するとどこからともなく、わずかばかりの雪が降ってきて、ひとひらの雪は、ふわりと小さな花の上に運ばれたのです。
 あの雪の子が溶けていった一輪の梅の花から、スーとせつない薫りが流れ、やがて美しい一人のお姫様が・・
【 北国の早春の丘の上で繰り広げられる、風とキツネと梅の花の物語】
【月夜に踊って】
 人形のジョゼットは来る日も来る日も小さな窓辺から寂しい路地裏をながめて暮らしておりました。
 蝶のいう方を見ると、遥か彼方の黒々した森から、一筋の川がまるで宝石を散りばめたようにキラキラと流れているのが見えました。
 「あそこまで、行ってみよう!」【マリオネットのジョゼットと蝶たちの交流、 ピアニストと歌姫の恋・・・・】
【夜出る魚達の船】
 暗い夜の海峡を渡る船に、ムーランは乗っていました。夜出る魚達の船は星の墓場に着くという。
船乗り達はそう泣いて私の切符は骨の杖だった。
【消えない虹】
「飛ぶんだ!高く、飛ぶんだ!」若者は叫びました。
 すると小鳥は、一瞬身体を震わせましたが、今度は胸一杯に花の香りを吸いこみ、サッと窓辺をけりました。
【青年画家と一羽のひばりの子が作った夢の絵画】
【鉄の鎧と火薬の子】
深い山間の、 谷に囲まれた森の奥に、火薬工場がありました。
「おとうさん、ぼくは人殺しになってしまうよ。」火薬の子はそう言って泣きました。

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