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![]() メルヘン風「恋物語」 長い長い夜汽車が通るまで、 ぼくは美しい茶色の女狐と 恋を捨てる物語にうち興じておりました。 時は春、丘の上。 黒い森の上に出た滑車のお月様 とんがり帽子をかぶって胞子が飛んでゆく 黄色い光に誘われて・・・ さて、長い長い夜汽車が通るまで、 まだ幾分も時はありました、 さりとて、恋を捨てる物語も 尽きることはありませんでした。 やがて、トンネルを抜けたランプの列が 煙管の輪を吐きながら通り過ぎるまでには 美しい茶色の女狐とぼくは 涙の河を渡っておりました。 それから、ぼくは丘を降り 女狐は一本の月見草になりました 詩集「青の光」より * ![]() |
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