Section 4 : 文書のメンテナンス

 一度作った HTML 文書はずっとそのまま公開されるのではなく,必要に応じて変更されるときもあるかもしれない。そのようなときに使用する HTML の記述を見てみよう。

文書の変更

 文書に何らかの変更があった場合,原稿の該当箇所を消して,書き直すものだと思われるだろうが,HTML では,<INS><DEL> を用いて変更箇所を明示することもできる。

<INS>...</INS>
<DEL>...</DEL>

属性は次のとおり。

<INS> と <DEL> の属性
属性 解説
CITE URI 変更の事由を説明した文書の URI。
DATETIME 日時 文書を変更した日時。

 <INS><DEL><BODY> 内のどこに書いてもよいが,書かれる場所によってブロック要素として振る舞ったり,インライン要素として振る舞ったりする。ブロック要素扱いならブロック要素・インライン要素,インライン要素扱いならインライン要素を内容としてとる。

 まずは簡単な例をご覧いただこう。

<P>自動販売機での缶飲料の価格は <DEL>110円</DEL><INS>120円</INS>です。</P>

“110円”を削除して“120円”に書き換えた。<INS><DEL> も,ここではインライン要素として扱われているのはおわかりになるだろうか。

 この出力もお目にかけておこう。

自動販売機での缶飲料の価格は 110円120円です。

 ところで,CITE 属性には URI を与えるのだからよいとして,DATETIME 属性にはどのように値を与えればよいのだろうか。

 日時は次の形式で与えることになっている。

YYYY-MM-DDThh:mm:ssTZD

年は西暦,時間は 24 時間で与える。桁数が満たない場合は 0 で埋める。TZD は時差を与える。Z で時差なし,+hh:mm で進み時差,-hh:mm で遅れ時差を表す。日本時間で 1998 年 5 月 23 日正午は,

1998-05-23T12:00:00+09:00

日本は +9 時間の時差があるので +09:00 をうしろにつける。標準時になおして,

1998-05-23T03:00:00Z

とすることもできる。注意しておくと,この表示に用いられる TZ などは,大文字と小文字を区別している。

 属性を指定して文書の変更を明示したものもあげておこう。

<P>1997 年 9 月 30 日を最後に,信越線横川駅は「峠の終着駅」になる。霧の中から峠を越えてやってきた列車の姿もなくなる。</P>
<P>横川駅は「鉄道文化むら」として新たなスタートを切ろうとしている。<DEL>年内にも一部オープンの予定である。</DEL></P>
<INS DATETIME="1998-10-23T16:05:00+09:00">
来年オープンの予定に向けて着々と準備が進められている。</INS>

上の場合は <INS> はブロック要素で,インライン要素がその内容となっている。変更日時はいつだろうか。1998 年 10 月 23 日の午後 4 時 05 分(時差 +9 時間)である。

 <INS><DEL> は UA でそれとわかるように表示されるだろう。たとえば,<INS> は下線や太字,<DEL> は打ち消し線などで表現される。

TITLE 属性

 これは,<TITLE> ではなく,TITLE 属性である。それぞれの要素について,補助的情報を書き込むのに用いる。

TITLE 属性
属性 解説
TITLE 文字列 その要素に対する補助的情報。

この属性はほとんどすべての要素に対して与えることができる。与えられないのは,<HEAD><HTML><META><SCRIPT><TITLE>,などである。

 使い方としては,先ほどの <INS><DEL> の変更の事由を直接書き込んでしまうとか,

<P>原子番号は<INS TITLE="3 か所逆転がある。">ほぼ</INS>原子量の順に並んでいる。</P>

略語に対してそのフルスペルを示すとか,

<P><ACRONYM TITLE="What You See Is What You Get">WYSIWYG</ACRONYM> 趨勢の今にあって,<ABBR TITLE="HyperText Markup Language">HTML</ABBR> のようなマークアップ言語が用いられるのは,その可搬性の高さによるところが大きいのだろう。</P>

リンク先についての簡単な情報を補足しておくとか,

<P><A HREF="http://www.w3.org/TR/REC-html40/" TITLE="W3C の HTML 4.0 仕様書へ">HTML 4.0</A> は 1997 年末に勧告された HTML の新しいスタンダードである。</P>

このほかに,さまざまな場面で使われうる。

 TITLE 属性は出力にポップアップのかたちで表現されたりする。決して必須のものではないが,必要に応じて利用するとよい。

 ただし,スタイルシートを <LINK> で取り込む場合には,TITLE 属性は複数のスタイルシートを閲覧者が選択できるように用意したときにそれぞれを識別するために用いる。スタイルシートのファイルがただ 1 つであるときは,TITLE 属性は指定しない。これは,後で詳しく述べることにしよう。