インターネットでは,今やさまざまなタイプのデータが飛びかっているが,それがどんなデータであるかはふたを開けてみないとわからないことが多い。これを前もって“こんなデータですよ”というのが MIME タイプである。ここでは簡単に概略を説明する。
HTML から外部のデータを呼び出すとき,それがどんなものかによってコンピュータの処理は当然異なる。テキストデータを画像にしようとか,画像のデータを演奏しようとかいうのはもってのほかである。
ファイル名にはデータのタイプに対応した拡張子がついている場合が多いが,拡張子がなかったらどうするのか。また,知らない拡張子のデータはどう処理すればよいのか。そのデータがテキストならば表示させても問題なさそうだが,画像でテキストとして表示したらとんでもないことになる。
MIME タイプはデータのタイプを大きく分類し,さらに細かく分類する。一般に,次のようになっている。
(タイプ)/(サブタイプ)
MIME タイプに大文字・小文字の区別はない。
大分類であるタイプには次の 8 つが定義されている。
このほかに,試験的に用いられる“x-”を冠したタイプもあるが,あまり用いられない。
以降,はじめの 5 つ(text,image,audio,video,application)について見ていくことにしよう。
次に,おもなサブタイプをタイプごとに見てみよう。サブタイプはそれぞれ拡張子と対応していることが多いので,参考におもな拡張子も示しておく。
タイプ | サブタイプ | 拡張子 | タイプ名 | 解説 |
---|---|---|---|---|
text | plain | txt | テキストファイル | 通常のテキストファイル。 |
html | html,htm | HTML ファイル | HTML ファイル。 | |
css | css | CSS ファイル | カスケーディングスタイルシートのファイル。 | |
xml | xml | XML ファイル | XML で書かれたファイル。 | |
image | gif | gif | GIF イメージ | Graphic Interchange Format。CompuServe で標準化された画像データ形式。 |
jpeg | jpg,jpeg | JPEG イメージ | Joint Photographic Experts Group。不可逆圧縮を行い高い圧縮率を実現する画像データ形式。 | |
tiff | tif,tiff | TIFF イメージ | Tag Image File Format。可搬性を重視した画像データ形式。一般にファイルサイズが大きめ。 | |
png | png | PNG イメージ | Portable Network Graphics。ネットワーク利用を見据えて作られた画像データ形式。 | |
audio | basic | au,snd | Sun ワークステーションで用いられるサウンド形式。 | |
video | mpeg | mpg,mpeg | MPEG ムービー | Motion Picture Experts Group。高圧縮の動画データ形式。DVD などにも使われ,転送速度により 3 つの規格がある。 |
quicktime | mov | QuickTime ムービー | MacOS 標準の動画形式。マルチメディアプレゼンテーションによく使われる。 | |
application | octet-stream | exe | バイナリデータ | 通常のバイナリデータ。 |
postscript | ps,eps | PostScript | プリンタ記述用言語。 | |
mac-binhex40 | hqx | Macintosh BinHex | MacOS で用いられる,バイナリデータをテキストに変換したデータ。 | |
PDF ファイル | Adobe Acrobat などで生成する,環境に依存しない文書ファイル。HTML と異なりページメディアでのレイアウトを含めた配信に用いられる。 | |||
zip | zip | ZIP アーカイブ | PKZIP で圧縮されたアーカイブファイル。 | |
msword | doc | MS-Word 文書 | Microsoft Word で生成される文書ファイル。 |
サブタイプには,“x-”を冠した試験的なものが多く見られる。
HTML で TYPE 属性にこういった MIME タイプを指定するのは,ブラウザが認識しているタイプかどうか,認識していなければそれを読んできてふつうに表示させてよいものかを判断する貴重な材料になる。
もし,<OBJECT> で扱いも知らない巨大な動画ファイルが指定されていたとすれば,タイプが明示されている場合,それをもとから読みに行かず代替措置を実行すればよいことになる。このとき,タイプが明示されていなければ,長時間かけてファイルを読んだあげく“扱い方を知りません”ということになりかねないのである。