Academic HTML 4.0 - VI

Yes, we love HTML
好きなんです,HTML

TABLE of CONTENTS

Introduction

 HTML は何を記述するものか? ここまで読み進めてきた方ならすぐに答えられるだろう。“文書の構造”を記述するものだ。HTML 4.0 からは今までのような,“表現を記述する属性”は使わなくなり,スタイルシートが WWW 文書の視覚的表現を担うようになる。そのひとつとして CSS があり,それを First step CSSStep forward CSS,そして Take off with CSS で解説してきた。スタイルシートの導入によって,HTML をすっきりと省力的に書き,文書の内容とその表現のされ方とを切り分けて考えられるようになった。ここまでのチュートリアルでひととおり“いいたいこと”を伝えられる HTML を書くことができるようになっているのではなかろうか。

 それにしても,インターネットの発達は時の流れを速めたようだ。WWW だけをとってみても,筆者がアニメーション GIF を初めて見て驚いたのはつい最近だったような気もする。ところが今や,動画が入っている,音が鳴る,というページも,そのナカミがどうであれ,珍しくなくなった。堰を切ったように,日々新技術が投入されている。

 そんな中,登場した HTML 4 は WWW でもっとも基本的な文書というメディアにあって,そういったマルチメディア化をはじめとする拡張を見据えた作りになっている。インタラクティビティも現在の重要なキーワードである。また,実世界の文書の構造をより忠実に反映できるような改良が随所に施されている。

 HTML 4 はここからが本番である。文書の構造をいかに表すか,マルチメディア,インタラクティビティをどのように扱うのか,そしてその中にあって,いかに多くに開かれた思いやりのある文書を書くのか。ハイエンドな環境を必要とするマルチメディア処理をやりたいのなら,一見,それができない環境をすべて切り捨てなければならないかのように思える。悲しいことに,現在の WWW はそうである。

 先進に焦がれるのはもっともであって,その“新しいもの”の可能性に挑戦することはすばらしいことである。でも,世界はすべてが右へ倣えの Up-to-date ではない。それに,情報はすべての人に開かれていてほしい。

 でもそれは理想論である。一昔前の環境が,最新技術へのキャパシティが不足しているのはしかたがない。それを承知した上で,あなたの情報が環境なりのベストな状態でアクセスされるようにするべきである。HTML 4 はそのための機能を提供する。

 情報を発信しようとする自分と,それを受け取るインターネットの向こうの“誰か”との関係をつねに心にとめてこそ,あなたの情報は真に価値を持つことになるのではないだろうか。

 本チュートリアルでは,HTML 4 の新しいフィーチャーが数多く登場する。そこに見てほしいのは,HTML の秘めるポテンシャルである。インターネット時代のこのすばらしい“道具”をもっともっと,“好き”になってほしい。



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HTML 4.01 対応版:Sep. 30, 2000
二訂版:Nov. 29, 1998