Section 10 : 構造を持つフレーズ

 Try next HTML の Section 3<EM><STRONG> など,文章中の語句にある役割を与える要素を解説した。ここでは,そのときあげた以外の“構造を持つフレーズ”を紹介する。

コンピュータ入出力のフレーズ

 インターネットというコンピュータのただ中で育ってきただけあって,HTML には多数のコンピュータの入出力に関連した要素が用意されている。

■ コンピュータコード

<CODE>...</CODE>

 文章中でコンピュータコードを書くときに用いられる。多くは,等幅フォントを表現手段とする。

■ コンピュータ出力

<SAMP>...</SAMP>

 プログラムの出力結果などを表すのに用いる。多くは,等幅フォントを表現手段とする。

■ ユーザのキーボード入力

<KBD>...</KBD>

 ユーザの入力を表すのに使う。多くは,等幅フォントを表現手段とする。

■ 変数

<VAR>...</VAR>

 変数を表す。多くは,斜体を表現手段とする。

 これらを使った例をご覧いただこう。

<P>C 言語では,関数の引数は原則として値渡しである。関数 <CODE>f</CODE> に対して参照渡しを行いたいのなら,引数をポインタで,たとえば <CODE>float f(float *<VAR>x</VAR>)</CODE> のように定義し,呼び出す場合は <CODE><VAR>y</VAR> = f(&<VAR>x0</VAR>)</CODE> のようにポインタを渡す。</P>
<P>プロンプトに対して <KBD>ls -l</KBD> と入力すると,ファイルの詳細な一覧が表示される。たとえば,<BR><SAMP>-rwxr--r-- username group **** **:**</SAMP><BR>はじめの文字の羅列はアクセス権(パーミッション)を表している。</P>

C 言語では,関数の引数は原則として値渡しである。関数 f に対して参照渡しを行いたいのなら,引数をポインタで,たとえば float f(float *x) のように定義し,呼び出す場合は y = f(&x0) のようにポインタを渡す。

プロンプトに対して ls -l と入力すると,ファイルの詳細な一覧が表示される。たとえば,
-rwxr--r-- username group **** size **:**
はじめの文字の羅列はアクセス権(パーミッション)を表している。

 こういった要素は,インターネットの“大衆化”とともに見ることが少なくなった。

略語

 長い言葉が次々に略される昨今,それを表す要素も HTML 4 では用意された。

<ABBR>...</ABBR>
<ACRONYM>...</ACRONYM>

この 2 つであるが,使い分けが問題である。<ABBR> は通常の略語で,JanuaryJan.et certeraetc.World Wide WebWWW と略したりするものである。もうひとつ,<ACRONYM>アクロニム(頭文字語)で,North Atlantic Treaty OrganizationNATOradio detecting and rangingradar と略すものである。

 はたして何が違うのか,とお思いになられたかもしれないが,アクロニムはそれ自体が1語のように発音されるものが多いという特徴がある,といえば何となくおわかりになるのではなかろうか。Jan.,etc. はもとの単語どおりに発音され,WWW はもとの単語のとおり発音されるか,もしくはスペルをそのまま“ダブリュー ダブリュー ダブリュー”と読む。ところが,NATO はそれがあたかも 1 語のように“ナトー”で,“エヌ エー ティー オー”とはまず読まない。radar などはそれがアクロニムであるなんてなかなか気づかないほど“レーダー”で 1 語化してしまっている。

 それではこれは何のため,と思われるかもしれないが,次のような利用法が示唆されている。

<P>コンピュータの心臓部である <ABBR>CPU</ABBR> は,命令セットの作り方によって <ACRONYM>RISC</ACRONYM><ACRONYM>CISC</ACRONYM> とに分けられる。</P>

コンピュータの心臓部である CPU は,命令セットの作り方によって RISCCISC に分けられる。