'**'とは、大きな修正があることを示す
**〔放送位置変更〕ミサトのマンションのシンジの部屋
シンジの部屋の天井
ただ天井を眺めているシンジ
シンジ:綾波、レイ
水槽に浮かぶレイと同じモノのインサート
シンジ:...やっぱりそうなのか、あの感じ
シンジの目のアップ
シンジ:...母さんの
でも、ちがう
レイ、初号機、ユイのインサート
シンジ:綾波レイを、母さんを...何をしようとしているんだ? 父さん
**〔ボツを復活〕ネルフ本部・公務室
冬月:フィフス・チルドレン?
碇 :そうだ。明日、ドイツから空輸される
冬月:マルドゥック機関を通さないのか
碇 :ゼーレの贈り物だよ
冬月:弐号機のコアを入れ換えろということか
いずれにせよ、あの老人たちが送り込むのだ。ただの子供ではあるまい
沈黙の碇
冬月:裏死海文書にある、最期の使徒。その出現を前に、やっかいごとが増えるな
[タイトル]最後のシ者
**〔放送位置変更〕独房
独房に拘束されているリツコ(白衣は着ていない)
ネルフマークが壁に赤く光る
OFFでドアの開く音。つづいて足音
碇がリツコの前に立つ(足元だけ)
〔リツコ、顔も上げずに〕
リツコ:碇司令
沈黙の碇
碇 :−−− なぜ、ダミーシステムを破壊した?
リツコ:ダミーではありません。破壊したのは「レイ」ですわ
碇 :今一度問う。なぜだ
リツコ:あなたに抱かれてもうれしくなくなったから
リツコ、碇を見て台詞。抑えが聞かず、爆発する感情
リツコ:私のからだを好きにしたらどうです...あの時みたいに!
碇 :君には失望した
リツコ:失望? 最初から期待も、何も持たなかったくせに!
私には何も! 何も! 何も!
黙って去る碇
リツコの泣き声にドアの閉まる音が響く
リツコ:どうしたら、どうしたらいいの、母さん
*ミサトのマンションのキッチン
閉まるドア。テーブル
アスカがシンジをはたく音
〔台詞はすべてOFF〕
アスカ:いい加減な事言わないでよっ!!
コーヒーメーカー
アスカ:バカシンジのくせにっ!
コーヒーカップ
シンジ:だから、何度言ったら分かるんだよ!もう加持さんは
こぼれたコーヒー
シンジ:いないんだってばっ!!
信じられない表情のアスカ
アスカ:...ウソ
**ネルフの官舎。アスカの部屋
そのバスルームでのシャワーの音
バスタブにいっぱいの水。あふれだしている
胸に当たるシャワー PANDOWNして
頬はこけ、目の焦点もあっていないアスカ
ポツリポツリと言葉を言葉を発する
アスカ:シンクロ率、ゼロ。セカンド・チルドレンたる資格なし
あふれている水。赤いものが混ざる
血のついたナイフ
アスカ:もう私がいる、理由もないわ
誰も私を必要としてくれないもの
部屋の外で、ドアをノックしているミサト
ミサト:アスカ、もう時間よ
どうしたの? シンクロテストの時間でしょ
アスカの腕から血が流れている。腕を切って自殺しようとしている
アスカ:私が生きていく、理由もないわ
〔睡眠薬のカット入れるか?〕
OFFでドアを無理に開けようとしている音
ミサト:(OFF)アスカ! アスカ! 居るんでしょ! 開けなさい!
全く無反応のアスカ。同じく焦点の定まらない目
**発令所
電話を置く青葉
青葉 :アスカは303病室に入りました
日向 :自殺未遂、ですか...
伊吹 :鬱状態です。回復には時間がかかりそうですね
ミサト:で、今日、アスカの代わりのフィフス到着
(M)まさか、知ってたんじゃ
日向 :はい、渚カヲル。生年月日はセカンドインパクトと同一日の
2000年9月13日。それ以外の過去の経緯は抹消済みです
ミサト:(M)委員会が直で送ってきた子供。必ず何かあるわね
伊吹 :シンクロテストは到着しだい、シンジ君たちと合わせて行ないます
*ネルフ本部直上の荒野
零号機の爆発で円形の湖と化した元第3新東京市
周囲の山の木々は爆圧で倒木している
高野と化した街の跡に、日が沈んでいく
湖面に写る夕日の輝き
うっすらと爆音が響く
その中に一人立つシンジ
シンジ:トウジもケンスケも、みんな家を失って、どこかに行ってしまった
何もない光景。市街だった場所
シンジ:友達は...友達と呼べる人たちはいなくなってしまった。誰も
湖の波がシンジの足元近くまで届いている
シンジ:綾波にも会えない...
水槽の綾波のインサート
シンジ:その勇気がない
どんな顔をすればいいのかわからない
僕はどうしたら、どうすればいい?
爆音に混じって、人の歌声が聞こえる
第9を口ずさみながら、荒野に一人、座っている少年
カヲル:歌はいいね
シンジ:え?
カヲル:歌は心を潤してくれる。リリンの生みだした文化の極みだよ
そう感じないか? 碇シンジ君
シンジ:僕の名を?
カヲル:知らないモノはいないさ。失礼だが、君は自分の立場を少しは
知ったほうがいいと思うよ
シンジ:そう、かな? ...あの、君は?
カヲル:僕はカヲル。渚カヲル。
君と同じ仕組まれた子供、フィフス・チルドレンさ
シンジ:フィフス・チルドレン? 君が? あの...渚、君?
カヲル:カヲルでいいよ。碇君
シンジ:(反射的に)僕も、あの、シ、シ、シンジでいいよ
笑顔を返すカヲル
湖畔で見つめあう2人
〔入らないようであれば以下をカット〕
降下してくるVTOL
カヲル:(見上げたままで)礼のない、無粋なお迎えだね
(シンジを見て)じゃ、シンジ君。また
*プラグ実験室
モニターされているレイ・シンジ・カヲル
冬月 :あと、0.3下げてみろ
伊吹 :はい
カヲルが断トツのモニターグラフ
冬月 :このデータに間違いはないな
日向 :すべての計測システムは正常に作動しています
伊吹 :MAGIによるとデータの誤差は認められません
冬月 :よもや、コアの書き換えなしに弐号機とシンクロするとはな
この少年が
弐号機からのカオルのモニター図
それに驚愕の伊吹。堰を切ったように
伊吹 :(OFF)しかし、信じられません!
伊吹 :いえ、システム上、ありえないはずです
ミサト:でも、事実なのよ
真顔のミサト
ミサト:事実をまず受け止めてから、原因をさぐって
モニター内。微笑んでいるかのように見えるカヲル
**〔放送位置変更〕カートレイン
カートレイン内のミサトの車
その車内で、ミサトと日向
日 向:マルドゥックの報告書の今回の件は非公開となっています
それもあって、ちょいと諜報部のデータに割り込みました
ミサト:(あきれて)危ないことするわねぇ
日 向:その甲斐ありましたよ。リツコさんの居場所です
耳元で、何事かささやく日向
その言葉に顔をしかめるミサト
*長大なエスカレーター
登り口にカヲルがいる。軽い驚きのレイ
カヲル:君がファーストチルドレンだね。 綾波レイ。
お互いに、
この星で生きていく体はリリンと同じ形へと行き着いたか。
綾波レイ
君は僕と同じだね
レ イ:あなた、誰?
*公務室
電話を置く冬月
冬 月:フィフスの少年がレイと接触したそうだ
碇 :そうか
冬 月:彼はレイの居場所を知らないはずだがな
沈黙の碇
冬 月:今、フィフスのデータをマギが全力を上げて洗っている
*ミサトのマンション
マンションでパソコンに見入っているミサト
ミサト:...にもかかわらず、未だ正体不明。何物なの? あの少年
アスカの部屋の前に立つミサト
シンジの部屋のドアを開けるがいない
ミサト:シンジ君も未だ戻らず...保護者失格ね、私
*ゲート前
ネルフ本部施設、ゲートの前で一人座って待っているシンジ
ゲートが開きカヲルが現われる
カヲル:やあ、僕を待っていてくれたのかい?
シンジ:いや、別にあの、そんなつもりじゃ...
笑顔で、
カヲル:今日は?
シンジ:あの、定時テストも終わったし、あとはシャワーを浴びて帰るだけだけど
笑顔のカヲル
シンジ:でも、ホントはあまり帰りたくないんだ...この頃
カヲル:帰る家、ホームがあるという事実は幸せにつながる。よいことだよ
シンジ:そう、かな?
カヲル:きみともっと話しがしたいな。いっしょに行っていいかい?
シンジ:え?
カヲル:シャワーだよ。これからなんだろ?
シンジ:う、うん
カヲル:だめなのかい?
シンジ:いや、別に、そういうわけじゃ、ないけど
*大浴場
湯船の2人。笑顔のカヲル。恥ずかしそうなシンジ
カヲル:一時的接触を極端に避けているね、君は
恐いのかい? 人と触れ合うのが
他人を知らなければ、裏切られることも、互いに傷つくこともない
でも、寂しさを忘れることもできないよ
人は寂しさを永久になくすことはできない。人は一人だからね
ただ、忘れることができるから、人は生きていけるのさ
カヲルの手が振れてドキっとなるシンジ
シンジ:時間だ
カヲル:もう、終わりなのかい?
シンジ:うん、もう寝なきゃ
カヲル:君と?
シンジ:え? いやカヲル君には部屋が用意されていると思うよ。別の
カヲル:そう
常に人は心に痛みを感じている
心が痛がりだから、生きるのもつらいと感じる
ガラスのように繊細だね。特に君の心は
シンジ:僕が?
カヲル:そう、好意に値するよ
シンジ:コウイ?
カヲル:好きってことさ
[Aパート終了]
1999.12.16
1999.12.23 フッタを修正
1999.12.24 フッタを修正
1999.12.26 Bパートアップに伴いフッタを修正
2000. 1.12 とほほ、まだ、ミスってるし