Hop step XHTML―ホップ ステップ XHTML

Section 2:モジュール化された XHTML(2)

 前節では,HTML の歩みと XHTML 1.1 へ至った経緯を駆け足で追ってみた。ここでは,“モジュール化された XHTML”における,XHTML 1.1 を見てみることにする。

XHTML 1.1 のモジュール

 XHTML 1.1 では,“モジュール化された XHTML”から,次のモジュールを使用する。

構造モジュール(Structure Module)
XHTML の全体構造を規定する。要素として,html(ルート要素),head(ヘッダ部分),body(本文),title(タイトル)が含まれる。
テキストモジュール(Text Module)
テキストに関する要素が定義される。h1(見出し 1),h2(見出し 2),h3(見出し 3),h4(見出し 4),h5(見出し 5),h6(見出し 6),p(パラグラフ),div(ブロックコンテナ),pre(整形済みテキスト),blockquote(ブロック引用),q(フレーズ引用),cite(出典),address(アドレス・署名),br(強制改行),em(強調),strong(強い強調),span(インラインコンテナ),dfn(定義),abbr(略語),acronym(頭字語),code(コンピュータコード),kbd(コンピュータ入力),samp(コンピュータ出力),var(変数)が含まれる。
ハイパーテキストモジュール(Hypertext Module)
ハイパーテキストを規定する。a(ハイパーリンクのホットスポット)要素を含む。
リストモジュール(List Module)
箇条書きを定義する。要素として,dl(見出し付き箇条書き),dt(見出し付き箇条書き:見出し),dd(見出し付き箇条書き:説明),ol(番号付き箇条書き),ul(番号なし箇条書き),li(箇条書きの項目)が含まれる。
オブジェクトモジュール(Object Module)
文書中に挿入するオブジェクトに関する要素を定義する。object(オブジェクト),param(オブジェクトへのパラメータ)が含まれる。
プレゼンテーションモジュール(Presesntation Module)
主に簡単なテキストの装飾が含まれる。要素として,b(太字),i(イタリック体),tt(等幅),big(大きな文字),small(小さな文字),sup(上付き),sub(下付き),hr(区切り線)が含まれる。
エディットモジュール(Edit Module)
文書の挿入・削除を示す要素,ins(挿入),del(削除)要素が定義される。
双方向テキストモジュール(Bidirectional Text Module)
テキストの流れる向きに関する要素,bdo(双方向テキストフローの上書き)要素が定義される。
フォームモジュール(Forms Module)
フォームに関する要素を定義する。form(フォーム),fieldset(フォームのグループ化),legend(フォームグループの見出し),input(入力コントロール),button(ボタンコントロール),select(選択式コントロール),optgroup(選択式コントロール:項目グループ),option(選択式コントロール:項目),textarea(複数行テキストボックスコントロール),label(コントロールへのラベル)が含まれる。
表モジュール(Tables Module)
表に関する要素を定義する。table(表),caption(表の表題),col(列の定義),colgroup(列グループの定義),thead(ヘッダ行グループ),tbody(行グループ),tfoot(フッタ行グループ),tr(表の行),td(セル),th(見出しセル)が含まれる。
画像モジュール(Image Module)
画像の挿入,img(画像の挿入)要素が含まれる。
クライアントサイドイメージマップモジュール(Client-side Image Map Module)
イメージマップを定義する。map(イメージマップの定義)および area(イメージマップの領域定義)が含まれる。
サーバサイドイメージマップモジュール(Server-side Image Map Module)
サーバスクリプトで処理されるイメージマップを定義する。img 要素に ismap 属性が追加される。
固有イベントモジュール(Intrinsic Events Module)
主にスクリプト処理のための,要素に対する様々なイベントを定義する。
メタ情報モジュール(Metainformation Module)
文書情報の要素,meta(メタ情報)を定義する。
スクリプティングモジュール(Scripting Module)
スクリプト処理に関する要素が定義される。script(スクリプト),noscript(スクリプトを実行しないときの代替文章)が含まれる。
スタイルシートモジュール(Stylesheet Module)
文書中にスタイルシートを集中記述する,style(スタイルシート)要素が定義される。
style 属性モジュール(style Attribute Module)
その場でスタイルを記述する,style 属性を追加する。なお,この属性の使用は推奨されない。
リンクモジュール(Link Module)
文書間の関係や,スタイルシートの呼び出しを記述する,link(文書間の関係)要素が定義される。
ベースモジュール(Base Module)
文書中の相対 URI の基準を指定する,base(基準 URI)要素が定義される。

このほか,XHTML 1.1 では,前述のように,ルビモジュールが追加される。

ルビモジュール(Ruby Annotation Module)
ルビに関する要素を定義する。ruby(ルビの適用範囲),rb(ベーステキスト),rt(ルビテキスト),rp(ルビのかっこ),rbc(ベーステキストコンテナ),rtc(ルビテキストコンテナ)が含まれる。

 上記が XHTML 1.1 の全要素リストになる。

 ちなみに,“モジュール化された XHTML”において,XHTML 1.1 に含まれなかったモジュールとして,以下がある。

アプレットモジュール(Applet Module)
主に Java アプレットの挿入に用いる。
基本フォームモジュール(Basic Forms Module)
フォームに関する要素のうち,基本的なものに絞ったもの。XHTML Basic では,フォームモジュールの代わりにこれを用いる。
基本表モジュール(Basic Tables Module)
表に関する要素のうち,基本的なものに絞ったもの。XHTML Basic では,表モジュールの代わりにこれを用いる。
フレームモジュール(Frames Module)
フレームに関する要素を定義する。
ターゲットモジュール(Target Module)
ハイパーリンク先を開くウィンドウなどを指定する,target 属性を追加する。
インラインフレームモジュール(Iframe Module)
文書中に“のぞき窓”を作って別の文書を表示させる,インラインフレームを定義する。
name 属性モジュール(Name Identification Module)
id 属性のほかに,要素を特定するための名前を与える name 属性を追加する。
レガシモジュール(Legacy Module)
主に視覚表現に関する要素や属性が定義される。