background 短縮プロパティは，背景に関するプロパティ，すなわち，background-color プロパティ，background-image プロパティ，background-attachment プロパティ，background-repeat プロパティおよび background-position プロパティを一括して指定するものである。

background: background-color background-image background-attachment background-repeat background-position;

　このプロパティに与える値は，前述した 5 つのプロパティの与え方に準ずる。値は順不同でよく，5 つのプロパティに対する値のうち，少なくとも 1 つが与えられていればよい。また，値の適用も，5 つの背景に関するプロパティの値の適用のされ方に準ずる。このプロパティで，省略された（background-color などの）プロパティに相当する値に関しては，初期値に戻される（背景に関する 5 つのプロパティは，値の継承を行わない）。

　たとえば，background 短縮プロパティを用いた次の宣言

background: url(bg_img.png) top right repeat-y;

は，以下のような宣言群と同等である。ただし，指定されなかった background-color および background-attachment プロパティの値に関しては，それぞれ初期値の transparent および scroll が指定されたのと同じである。

background-image: url(bg_img.png); background-position: top right; background-repeat: repeat-y;

　ここで，background 短縮プロパティを使用した例を見ておこう。

H3 { border-bottom: thin dotted #F93; padding: 0.2em; }
P { margin-left: 10%; padding: 0.2em; line-height: 1.3; border-left: thin solid #69F; background: #CCC url(f_bg_box.gif) top left repeat-y; }

<H3>SMTP と POP</H3>
<P>SMTP は Simple Mail Transfer Protocol，POP は Post Office Protocol の略で，それぞれ電子メールの送信・受信に一般的に用いられているプロトコルである。しかし，SMTP はいつの間にか添付ファイルつきなどという「複雑な」メール メッセージも扱うようなった。最初は「最低限の機能で，シンプルに」実装したプロトコルが，いつの間にか複雑なものになっていくのは，設計者からすれば嬉しい誤算なのだろうか。</P>

　ここまで，背景に関する 5 つのプロパティと，これらを一括で指定する短縮プロパティを紹介した。ここでは，これらの間の関係について何点か触れておくことにする。

　background-position プロパティで，背景画像の位置を指定した場合，background-repeat プロパティの値が no-repeat であれば，背景画像は指定された位置に 1 つだけ表示される。ここで，background-repeat プロパティがそれ以外の値の場合，まず，background-position プロパティで指定した位置に画像が配置され，それから background-repeat プロパティの値に応じて画像が繰り返し表示される。

　たとえば，background-position プロパティで画像を下部中央に配置し，background-repeat プロパティで repeat-x を指定した場合は，その下部中央に指定した画像の位置から，左右に画像が繰り返し表示される。

　background-attachment プロパティの値が fixed の場合，背景画像の位置は“その要素のパディング領域を含めた内側”を基準に決められるのではなく，（Web ブラウザでの出力を考えるならば）ブラウザの表示領域に対して配置され，固定される。たとえば，

BODY { background: #9FC url(logo.gif) right bottom no-repeat fixed; }

の場合，ひとつだけ表示される背景画像は BODY 要素のボックスの，パディング領域の右下隅ではなく，ブラウザの表示領域の右下隅に固定される。