Appendix B : やさしい HTML

Toward Accessible WWW

あなたは, WWW の世界に入ったときに何を感じただろうか。WWW のきれいなレイアウトに目を奪われたのだろうか,それとも,そこにある膨大な情報量に驚きを感じたのだろうか。何に魅かれて WWW の世界に飛び込んだのかは人それぞれだろう。今では,世界中の多くの人々がこの WWW の世界に足を踏み入れている。当然のことながら,話す言葉も違えば生活の習慣も違う人達である。だれでも同じ情報を世界中で共有できるすばらしさ,これがインターネットのひとつの特徴であることは間違いない。そして,あなたが情報を発信する側になったときに,あなたが気をつけなければならないことはヤマほどある。WWW のすばらしさを,さらに多くの人々に伝えること,これが情報を発信するものに課せられたもっとも大きな使命であるといえる。決して自己満足で終わってよいものではない。そこには,情報の発信者としての責任が伴う。

発信された情報には,世界中の誰でもアクセスすることができる。その人は違う言葉を話しているかもしれないし,あなたとは異なった環境で WWW の世界を旅しているかもしれない。ブラウザももちろん違うだろうし,もしかしたらマウスがないかもしれない,眼の悪い人であったり,耳の悪い人である可能性だってある。しかし,相手がどんな人であれ,すべての人々が平等に情報を共有できなければならない。あなたが発信する情報は,あらゆる状況下において閲覧可能であるべきなのだ。そのためにあなたにできることは何であろうか。

画像を受け取らないブラウザを利用している人のために,画像に替わる説明文を載せるべきだろう。アプレットに対応していない人のために,その代わりも用意しなければならないだろう。テキストリーダなどの音声システムを利用する人のために,きちっとした構造を書くことも大切だ。やらなければならないことはたくさんあるが,結局のところ,一つの基本的な考え方さえしっかりしていれば,大変なことではない。構造と表現の分離,何度か出てきたが,これこそがすべての基本である。きちっとした構造を書けば,それに対応した適切な表現がおこなわれる。

あなたが,WWW の世界において情報を発信するものとしての責任を果たすためには,一部のブラウザでしか見ることができない,このアプリケーションがなければだめ,といった閉鎖的なページではなく,すべての人に開かれたページを作ることが大切である。そのことが,アクセシビリティの向上である。WWW の世界にいるすべての人が,同じように情報を得ることができるようなページ,そんなページを作るためにやさしい HTML を書いていこう。世界中のすべての人があなたの情報に目を向けている,そしてあなたは,すべての人に情報を提供する。ここにも一つの喜びが存在するのではないだろうか。


解決! センター化学 I
解決! センター化学 I ◆ Z 会出版