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[アイキャッチ] Rei III
**〔放送位置変更〕ダミープラグ前
なにか作業をしている碇
ダミープラグ
後ろで冬月
冬月:(つぶやくように)レイか...
彼女は俺の絶望の産物であり、いまだお前の希望のヨリシロでもある
やはり忘れる方が無理というものか
何も言わず作業を続ける、碇
*山複
焼けこげた木々
危険・立ち入り禁止の札とテープ
防護服のリツコら
発見された原形をとどめていないエントリープラグ
中を見て、目を背けるリツコ
リツコ:このことは極秘、とします。プラグは回収。
関係部品は発見次第処分して
男 :了解。作業、急げ
その場から逃げるように去っていくリツコ
**〔放送位置変更〕第3東京市・俯瞰全景
地上施設の消えた街。巨大なクレーターとなっている
芦の湖の湖水が流れ込んでいる
上空をヘリやVTOLが低空飛行している
*ミサトのマンションのシンジの部屋
部屋の天井
疲れきっているシンジ
天井を呆然と見つめているだけ
ミサト:シンジ君。開けるわよ
ベッドの片隅に座るミサト
シンジ:ミサトさん。出ないんだ。涙。
悲しいと思っているのに出ないんだよ涙が
沈黙のミサト
**ミサトがシンジの手に触れようとするシーン はカット
**誰でもいいんだ...寂しかったのは私のほうね はカット
*ゼーレの会議
第3から第16使徒の名前とスチールが次々と現われては消えていく
それに、OFFで男の声
男 :ついに第16の使徒までを倒した
男 :これでゼーレの死海文書に記述されている使徒は、あとひとつ
キール:(OFF)約束のときは近い
闇に浮かぶモノリス
キール:その道程は長く、犠牲は大きかったがな
男 B:左様。ロンギヌスの槍に続き、エヴァ零号機の損失
男 A:碇、解任には十分すぎる理由だな
男 C:冬月を無事に帰した、意味もわからぬ男ではあるまいに
男 D:新たな人柱、が必要ですな。碇に対する
キール:そして、事実を知る者が、必要だ
**リツコの研究室
〔下の追加部分が尺が大きすぎて入らない場合はここを多少カット〕
研究室で一人座っているリツコ
碇と母、そして高校生のリツコが写っている写真
*ミサトのマンションの朝の外観
ミサトの自室
ロールカーテンから漏れている光
散乱している缶コーヒー。つきっぱなしのモニター
机で突っ伏して寝ているミサト
に、OFFで鳴りっぱなしの電話
ぼーっとしたまま受話器を取るミサト
ミサト:はい、もしもし....なんですって!?
シンジの自室
制服のまま寝てしまっているシンジ
にOFFでミサトの声
ミサト:シンジ君!!
*病院
第一外科病棟の表札
ぼーっと
窓の外を見ているレイ
シンジの声:綾波!
振り向くレイ
廊下の壁によりかかっているシンジ
椅子に座っているレイ
2人の間には大きめの案内板がある
シンジ:よかった、綾波が無事で
沈黙のレイ
シンジ:あの、父さんは、きて、ないんだ...
沈黙のレイ
シンジ:ありがとう、助けてくれて
レ イ:何が?
シンジ:何がって..零号機を捨ててまでして、助けてくれたんじゃないか、
綾波が
レ イ:そう、あなたを助けたの
シンジ:うん...憶えてないの?
レ イ:いえ、知らないの
レイのアップ
レ イ:たぶん私は、3人目だと思うから
*綾波の団地
綾波の表札
冷蔵庫の上のビーカー
包帯を取るレイ
そこにはキズはない
チェストの上にゲンドウの眼鏡
を、見ているレイ
突然、眼鏡をとり、ひねりつぶそうとする
が、できない
その場で嘔吐するレイ
眼鏡のレンズに落ちた水を見て、驚く
レイ:これが涙?
はじめて見たはずなのに、はじめてじゃないような気がする
*司令公務室
電話をしている碇。傍らに冬月
碇 :そうだ。ファースト・チルドレンの状況は現状維持だ。新たな拘束の
必要はない。セカンド、サードについても同様だ。監視でいい
電話を置く碇
冬月:しかし、レイが生きているとわかれば、キール議長らがうるさいぞ
碇 :ゼーレの老人たちには、別のものを差し出してある。心配はない
*ゼーレの会議
モノリスの前に立つリツコ。全裸である
〔なぜ全裸であるのかの説明がいるか?〕
気丈な態度。前を隠すようなポーズは取っていない
男 A:我々も穏便に事は進めたい。君にこれ以上の陵辱、つらい思いは
させたくないのだよ
リツコ:私はなんの屈辱も感じていませんが
男 C:気の強い女性だ。碇がそばに置きたがるのもわかる
男 B:だが、君を我々に差し出したのは他でもない。碇君だよ
動揺を隠しきれないリツコ
キール:零号機パイロットの尋問を拒否。代理人として君をよこしたのだよ
赤木博士
リツコ:(MONO)レイの代わり....この私が?
*ネルフ本部
長大なエスカレーターの上にネルフ本部に戻ったリツコ
その険しい表情にゼーレの声がかぶる
男A:よいのか? 赤木博士の処置
男C:エヴァシリーズの功労者。いま少し役立ってもらうか
男B:我々の未来のために
*ゼーレの会議
キールの前に浮かぶモノリス
男 E:エヴァシリーズ、既に8体まで用意されつつある
男 F:残るはあと4体か
キール:第3東京市の消滅は、計画を進めるよき材料になる。完成を急がせろ
キールのポン寄り
キール:約束の日は、その日となる
*ミサトのマンション
マンションの外観にかぶって、電話の呼び出し音
受話器を取る音
シンジ :はい、もしもし
リビングにいるシンジ
リツコの声:そのまま聞いて。あなたのガードを解いたわ。
今なら外に出られるわよ
シンジ :リツコさん?
*ネルフ本部・地下
セントラルドグマをPANDOWNして行くカメラ
通路の表示板
セキュリティを解除しようとしているリツコ
点滅する警告表示。動かないセキュリティ
いぶかしむリツコ
ミサトの声:無駄よ。私のパスがないとね
リツコ:そう、加持君の仕業ね
ミサト:(その台詞には答えず)ここの秘密、この目で見せてもらうわよ
リツコ:いいわ。ただし、この子もいっしょにね
リツコの奥にシンジを見るミサト
ミサト:(ちょっと躊躇して)いいわ
**セントラルドグマ
セントラルドグマを降りて行く3人
ミサト:単刀直入に聞くわ。ダミープラグ。あれはいったい
何のためのものなの?
リツコ:ホント、脈略もない。加持君の資料にはなかったの?
ミサト:ネルフは使徒をすべて倒したら、エヴァをどうするつもりなの?
リツコ:さぁ? とりあえず、これから見るモノで判断してちょうだい
ゼーレのマークと「人工進化研究所 第3実験場」の表示
リツコ:そうね。まず...レイが、綾波レイが、私達人間とは別のモノだと
知ったら、驚くかしら(自嘲ぎみに、以下同)
シンジ:(茫然として)えっ?
リツコ:シンジ君。どう思う?
シンジ:そんなはずないよ! そんな...そりゃ、綾波はちょっと変わって
いるかもしれないけど...でも、意外に可愛くて...
なにか、かあさんのような感じが...
リツコ:ふふふ
何年かぶりに点灯するライト
まぶしいライトと実験設備の部屋
むき出しのコンクリート壁に英字や数字が直接描いてある
レイの部屋と同じビーカーが置かれている
黒いビニールで覆われているライトもある
シンジ:まるで綾波の部屋だ
リツコ:そう、綾波レイの部屋よ。彼女の生まれ育った場所
シンジ:ここが?
リツコ:そう、生まれたところよ。レイの深層心理を構成する光と水は
このイメージが強く残っているのね
ミサト:赤木博士、私はこれを見に来たわけじゃないのよ
リツコ:わかっているわ、ミサト
シンジ:ミサトさん、知ってたんですか?
ミサトはそれには答えない。黙って歩いていく
シンジ:何も知らないんだ...僕は(大事な人なのに)
**エヴァの墓場
シンジ:エヴァ?
リツコ:最初のね。失敗作よ。10年前に破棄させたわ
シンジ:...エヴァの墓場
リツコ:ただのゴミ捨て場よ。ただ、あなたの母親が消えたところでもあるわ
(特に冷たく)憶えてないかもしれないけど、あなたも見ていたはず
なのよ
お母さんの消える瞬間を
シンジ:そんな...何も...知りませんよ
ミサト:(銃を構えたまま)リツコ!
自虐的な笑みを浮かべるリツコ
歩きはじめる
**等身大の試験管の前
試験管の中は空っぽ
その前に立つ3人
ミサト:これがダミープラグの元だというの?
スイッチを入れるリツコ
まぶしい光
そして、壁全面の水槽
オレンジ色の水の中に浮かぶたくさんの同じ人影(水族館の回遊魚のごとく)
レイと同じ姿をしている
シンジ:...綾波、レイ?
いっせいにシンジを見るレイたち
背筋の寒くなるシンジ
驚愕のミサト
ミサト:まさか、エヴァのダミープラグは
リツコ:そう、ダミーシステムのコアとなる部分。それの生産工場よ
ミサト:これが?
並んでいるレイたち
リツコ:ここにあるのはダミー、そしてレイのためのただのパーツにすぎないわ
にこやかに笑っているレイたち
リツコ:人は神様を拾ったので喜んで手に入れようとした。
だからバチがあたった。
それが15年前。せっかく拾った神様も消えてしまったわ。でも、
今度は神様を自分たちで復活させようとしたの。それがアダム。
そしてアダムから神様に似た人間を作ったの。それがエヴァ
シンジ:ヒト。人間なんですか?
リツコ:そう、人間なのよ。本来魂のないエヴァには、人の魂が宿らせてあるもの
リツコの台詞に断片的なイメージを挟みつつ
リツコ:みんなサルベージされたものなの
魂の入った入れ物は、レイ、一人だけなの
ガフの部屋は空っぽになっていたのよ
(少しの間)
リツコ:生きる意思すらもたないから
だからこうして、外部からATフィールドを補っているのよ
ほら、記憶はメモリーに頼って
ただの自動人形なの
(シンジのほうを向いて)お母さんのまねをする
ミサト:リツコ!
リツコ:(止まらず)そんなにあの人がいいのかしら
(少しの間)
リツコ:ここに並ぶレイと同じモノには、魂がない。ただの入れ物なの
だから破壊するの。憎いから
冷たい笑顔でポケットに忍ばせていた端末のスイッチを入れる
水槽の水の色が赤く変色していく
次々と五体がばらばらに崩れていくレイの姿をしたもの
〔シルエットで見せる。まるで接着剤が溶解し、継ぎ目が外れていくように〕
驚愕するミサト
とっさに、銃を構える
ミサト:あんた!なにやってんのか、わかってんの?
リツコ、自嘲の笑みを浮かべて、セリフ
リツコ:ええ、わかっているわ。破壊よ。人じゃないもの。人の形をしたモノ。
人形なのよ
赤い水槽の中。ばらばらのシルエット
リツコ:でも、そんな人形にすら私は負けた! 勝てなかったのよっ!
あの人のことを考えただけで、どんな、どんな陵辱にだって耐えられたわ
私の体なんて、どうでもいいのよ!
でも、でも、あの人は、あの人は...わかっていたのに
バカなのよ、私は
親子そろって大バカ者だわ
ミサト、アスカに続き、3度なにも言えないシンジ
リツコ:私を殺したいのなら、そうして。いえ、そうしてくれるとうれしい
ミサト:それこそバカよ。あなたは
銃をおろすミサト
泣き崩れるリツコ
ミサト:エヴァに取りつかれた人の悲劇
号泣しているリツコ
ミサト:私も同じか
[テロップ] つづく
1999.12.16
1999.12.23 改行を一部に追加
1999.12.24 フッタを修正
2000. 1.15 HTML の記述ミスを修正
2000. 5.05 改行を一部に追加