セリフ体は,起筆や終筆部分に独特の三角形の装飾があるものが総称される。CSS では,こういった特徴のフォントファミリを一般フォントファミリ“serif
”で総称する。
セリフ体は,一般に字画に太いものと細いものとがある。解像度の高い印刷媒体上で重用される。
有名で,広く使用されているセリフ欧文書体。ファミリ名は“Times
”。Mac OS における標準的な書体のひとつ。
Times New Roman と酷似するが,“イタリックの小文字の‘z’”の文字が大きく異なる。Windows システムではこれを指定すると Times New Roman で代用されることがある。
URW++ 社の Times 互換フォントは“Nimbus Roman No9 L”である。
これも Times と並んでポピュラーな書体。ファミリ名は“Times New Roman
”。Windows に標準的にインストールされ,Internet Explorer のインストールでも導入されることがある。
もともとはロンドンの新聞“Times”用に,1931〜32 年にデザインされた書体。エックスハイトは高め,ディセンダ(“j”“p”“y”のような下に突き出した部分)は低めと,新聞にはうってつけのデザインであった。
プリンタでは,その中に Times がインストールされていると,Times New Roman が置き換えられることがある。
“画面上で読みやすい”ことを目指した新しい(1996 年)セリフ欧文書体。マッシュー・カーターのデザイン。ファミリ名は“Georgia
”。Windows 2000,XP に標準インストールされているほか,Internet Explorer とともにインストールされる。
高めのエックスハイトと,メリハリのあるデザイン,それにオールドスタイル(高さがそろっていない)の数字が特徴である。
画面上や,小サイズでの印刷での利用を狙ったセリフ欧文書体。Windows Vista および Office 2007 に添付される。セリフ欧文としては字画が簡素であり,込み入らないように工夫されている。また,イタリック体も筆記体の雰囲気は抑えたデザインになっている。
古典的なフォルムを持ち,画面と印刷の両方での活用を狙ったセリフ系欧文書体。Windows Vista および Office 2007 に添付される。
Mac OS に標準的にインストールされている。ファミリ名は,“New York
”。
もともとはビットマップフォントで,後にアウトライン化された。高いエックスハイトと,幅の広い文字が特徴的である。
Mac OS に標準的にインストールされている。ファミリ名は,“Hoefler Text
”。
オーソドックスな字形に,オールドスタイルの数字が特徴的である。
もともとの Century は,19 世紀末に雑誌用にデザインされた。あらゆるテキストとも相性のよい書体とされる。和文と英文が混じった文章ではおなじみであろう。ここにあげたものは Microsoft Office とともにインストールされるもの。ファミリ名は“Century
”。このデザインは Century Schoolbook に属するもので,アジア言語と組み合わせて使用するために調整されている。日本の書籍などでなじみが深いデザインである。
オリジナルの Century の後,1900 年にデザインされたバリエーションのひとつ。
1906 年ごろのデザイン。Century Expanded に,伝統的な字形の特徴を取り入れて作られたバリエーション。
1920 年ごろのデザイン。教科書の用途のため,Century Expanded をもとに,字幅を広くするなど,より読みやすく作られた。
ITC Century は,1975 年にインターナショナルタイプフェイス社によって作られた新しい Century のファミリである。エックスハイトを高くデザインし,ウェイトも拡張された。
1980 年に改刻された Century Schoolbook。ミッドレンジ以上のプリンタにインストールされていることがある。
URW++ 社による互換フォントは“Century Schoolbook L”。
16 世紀にクロード・ガラモン(Claude Garamond)によってデザインされた。これは西ヨーロッパの書籍などでよく目にする書体であろう。これは Microsoft Office とともにインストールされるもの(Monotype Garamond)であり,実はこれはガラモンの活字をもとにしたジャノンの活字をもとにしたもの(だが Garamond の名前がついている)。ファミリ名は“Garamond
”。
クロード・ガラモンのローマン体(正体)と,ロバート・グランジョン(Robert Granjon)のイタリック体に基づいて,アドビシステムズ社が開発したセリフ書体ファミリ。ロバート・スリムバックによる“復刻”である。オリジナルを尊重しながら,ディジタルタイプの特徴を考慮し,また,多目的に利用できるよう調整されている。
2005 年,アドビシステムズ社よりリリース。ロバート・スリムバックによる。OpenType Pro フォントとして提供され,多くの言語と多くの組版効果を実現する。標準のものは Regular,Medium,Semibold,Bold の 4 ウェイトにイタリック体が組になる 8 フェイス。用途別に調整された“Garamond Premire Opticals”には,34 のフェイスが含まれ,計 42 フェイス構成の壮大なファミリである。
Garamond を冠する書体の中で,よりオリジナルに忠実といわれるのがこの Stempel Garamond である。テキスト用として高い人気を誇っている。
ビットストリーム社よりリリースされている互換フォントは,“Original Garamond”。
クロード・ガラモンの活字をもとに,20 世紀の時代背景(デザインは 1970 年代後半)のもとで大胆にデザインした書体。エックスハイトを高く,字間を狭く,表情は明るくなっている。ウェイトも拡充された。広告デザインなどに人気が高い。
こちらも,Monotype Garamond と同じく,ガラモンの活字をもとにしたジャノンの活字をもとにした書体。
ビットストリーム社よりリリースされている互換フォントは,“American Garamond”。
多くのウェイト・幅のバリエーションを持つセリフ欧文書体。18 世紀末にジャンバッティスタ・ボドニ(Giambattista Bodoni)によってデザインされた。ファミリ名は“Bodoni
”。字画の太い部分が直線的に構成される点に特徴がある。
ミッドレンジ以上のプリンタにインストールされていることがある。
数ある Bodoni の名を冠している書体のうち,オリジナルの Bodoni により近いとされているのがこの Bauer Bodoni である。