CSS では,要素の配置される位置そのものをコントロールすることができる。ここでは,その基本的な考え方と,要素の配置のされ方を指定するプロパティについて述べる。
CSS では,ボックスの配置方法に大きく分けて次の 3 種類がある。
それぞれのボックスの配置方法は,float プロパティまたは次に述べる position プロパティによって決定される。これら 3 つの配置方法の分類の中に,さらにいくつかの配置方法が含まれる。
position プロパティ position プロパティは,その要素のボックスがどのような配置方法をとられるかを指定する。
position: キーワード;
このプロパティは,
キーワードは,次のうちから 1 つを指定する。
static
top および left などのプロパティは,この指定がされている要素には適用されない。
relative
top および left などのプロパティで指定して配置を行うことができる。
absolute
top および left などのプロパティで決定される。
fixed
absolute を指定した場合に準ずるが,配置の基準が(ブラウザの画面表示に対しては)ブラウザの表示領域になる(このように配置されたボックスは,表示領域のスクロールに対してもスクロールされない)。
各値に対しての配置方法の詳細は,後ほど順に見ていくことにしよう。
top,right,bottom および left プロパティ 先の position プロパティに static 以外の値が与えられたとき,そのボックスの位置を決定するのが top,right,bottom および left プロパティである。
top: 長さ;top: 百分率;top: auto;
right: 長さ;right: 百分率;right: auto;
bottom: 長さ;bottom: 百分率;bottom: auto;
left: 長さ;left: 百分率;left: auto;
これらのプロパティは,
position プロパティに static 以外の値が与えられている要素に適用される。
auto である。
これらのプロパティは,それぞれ,ボックスの上端,右端,下端および左端の位置を指定する。だだし,どこからの位置を指定するのかは,position プロパティの値によって異なる。
これらのプロパティに百分率で値を与えるときは,
left および right プロパティの場合はその要素の収容ブロックの幅
top および bottom プロパティの場合はその要素の収容ブロックの高さ
が基準になる。
position: static; の場合の配置この場合,要素のボックスは“通常の流れ”の中に配置される。ボックスの配置はこれが既定であり,とくに説明することはないだろう。
position: relative; の場合の配置 position プロパティに relative を与えた場合には,“そのボックスを通常の流れの中で配置した後,指定した分だけずらす”という配置方法になる。ボックスは,本来配置されるべき場所から“そっくりそのまま”ずらされる(折り返し位置などもそのままである)。ずらす量が大きい場合,ほかの要素と重なってしまうこともある。

たとえば右の図で,下線の引かれた“The quick brown fox”を右上にずらすように指定されていたとすると,これは,本来の位置(淡灰色)に配置されたあと,“そっくりそのまま”移動されて指定位置に配置される(藍色)。
ボックスがどれだけずらされるかは,top,right,bottom および left プロパティで指定される。
簡単な応用例を見ておこう。
A { text-decoration: none; padding: 0.1em; }
A:link, A:visited { border: thin solid #39C; }
A:hover { border: thin outset #39C; position: relative; top: -1px; left: -1px; }
A:active { border: thin inset #39C; position: relative; top: 1px; left: 1px; }
<P> コンピュータのセキュリティに関する情報は,<A HREF="http://www.jpcert.or.jp/">JPCERT</A> や <A HREF="http://www.ipa.go.jp/security/">IPA セキュリティセンター</A>などから入手できる。</P>
コンピュータのセキュリティに関する情報は,JPCERT や IPA セキュリティセンターなどから入手できる。
インラインボックスを上下に移動させるには後述する vertical-align プロパティを使うこともできるが,この場合ラインボックス(後述)の高さの計算に影響を与える。相対配置の場合は本来の位置を確定させてからボックスを移動させるので,ラインボックスの高さには影響しない。