ゴシック系の一般的な特徴は,字画の太さが均一であること。その中で,字画の特徴によっていくつかに分類される(本稿では,それらは扱わない)。CSS では,ゴシック体は一般フォントファミリ“sans-serif
”でくくられる。
Windows Vista のシステムフォントとして満を持して登場した“メイリオ”。“
字面は大きく,やや横が広い。モダンなゴシック体の骨格を持つ。ボールド体(太字)との 2 ウェイト構成になっており,“無理やりな太字指定”ではなく,本物の太字を使用できる。また,イタリック指定は欧文にのみ有効で,和文はイタリック(斜体)にはならない。
Windows 標準のゴシック体のひとつ。オーソドックスなスタイルである。リョービイマジクス社の“ゴシック-B”をもとにしている。ファミリ名は“MS ゴシック
”(“M”と“S”が 2 バイト文字(全角)であること,その次に半角空白があることに注意),または,“MS Gothic
”。
文字幅は 2 バイト文字(全角)はすべて一定で,1 バイト文字(半角)は全角の半分の幅を持つ。この意味で,一般フォントファミリ“monospace
”に属するフォントであるとも言える。
このフォントは,プリンタ出力時に,設定によってはプリンタ側のフォント(たとえば,“中ゴシック BBB”や“平成角ゴシック”)に置き換えられることがある。
Windows 標準のゴシック体のひとつ。ファミリ名は“MS Pゴシック
”(“M”と“S”が 2 バイト文字(全角)であること,その次に半角空白があって,全角の“P”に続けて“ゴシック”に注意),または,“MS PGothic
”。
英数字・かながそれぞれ固有の幅をもっている。
Windows 標準のゴシック体のひとつ。ファミリ名は“MS UI Gothic
”。
英数字・かながそれぞれ固有の幅をもっている点は“MS P ゴシック”に同じであるが,画面表示のために,かなが大ぶりかつ縦長にデザインされている。
Microsoft Office とともにインストールされる。ファミリ名は“HGゴシックM
”または“HGGothicM
”。
HG ゴシック M では,半角英数字が全角文字の半分の幅で,かなも均一の幅である。
HGSゴシックM
”(“HGSGothicM
”)HGPゴシックM
”(“HGPGothicM
”)もある。ファミリ名の“ゴシック”は,いわゆる“半角カナ”であることに注意。
これも,Microsoft Office とともにインストールされる。HG ゴシック M とは,ウェイト違いで(真の意味で)ファミリであるが,OS からは異なるファミリと認識される。ファミリ名は“HGゴシックE
”または“HGGothicE
”。
HG ゴシック E も,半角英数字が全角文字の半分の幅で,かなも均一の幅である。
HGSゴシックE
”(“HGSGothicE
”)HGPゴシックE
”(“HGPGothicE
”)もある。ファミリ名の“ゴシック”は,いわゆる“半角カナ”であることに注意。
Microsoft Office とともにインストールされる,極太の角ゴシック体。ファミリ名は“HG創英角ゴシックUB
”または“HGSoeiKakugothicUB
”。
HG 創英角ゴシック UB では,半角英数字が全角文字の半分の幅で,かなも均一の幅である。
HGS創英角ゴシックUB
”(“HGSSoeiKakugothicUB
”)HGP創英角ゴシックUB
”(“HGPSoeiKakugothicUB
”)もある。このファミリ名の“ゴシック”は,いわゆる“半角カナ”であることに注意。
あまりにも有名な,Mac OS(9 以前)のシステムフォント。特にビットマップフォントが画面上で読みやすいようにデザインされている。アウトラインフォントの全角文字部分は平成角ゴシックの W5。ファミリ名は“Osaka
”。英数字の幅が固定のものもあり(monospace),これは“Osaka-等幅
”。
通産省(当時)の外郭団体,日本規格協会が制作した“平成書体”のひとつで,これは角ゴシック体。平成明朝に続けて,これに整合性のある角ゴシック体として制作された。デザインは日本タイプライター社(現・キヤノン)が担当した。
制作されたのは全角文字で,半角文字はベンダにより異なる。基本的に同じ書体だがベンダが異なったりする関係上,ファミリ名は 1 つに定まらない。
平成角ゴシックは,W3,W5,W7,W9 のウェイトが一般的に販売されており,上に示したのはダイナコムウェア社製の“W5”。Mac OS で標準的にインストールされるものは W5 である。
平成角ゴシックは,ミッドレンジクラスのプリンタにインストールされていることがあり,たとえば,Windows での“MS ゴシック”が印刷時にこれに置換されることがある。
Mac OS X 以降でシステムフォントとして採用されている,大日本スクリーン社製のフォント。Mac OS X に標準でインストールされているのは“W3”,“W6”および“W8”(ウェイト違い;細い(W3),太い(W6),極太(W8);ただし W8 は Std)。ファミリとしては,W1~W9 の 9 ウェイトで構成される。
本来,“ヒラギノ角ゴ Pro”がファミリ名で,そのバリエーションとして W3 および W6 と指定する(OS からはそのように認識される)のだが,Mac OS 版 Internet Explorer 5 はそれぞれを別のフォントファミリとして扱い,“ヒラギノ角ゴ Pro W3
”または“ヒラギノ角ゴ Pro W6
”と指定することになる。
字面やふところ(字画の交わってできる空間)は広めで,明快でモダンな印象。字画には,末端を少しラッパ状に広げたアクセントがついている。
ヒラギノ角ゴには,組み替えかなとして“AD 仮名”,“パッケージ用仮名”が用意されている。“AD 仮名”は,モダンな印象をもった大ぶりなかなで,“パッケージ用仮名”は小さなサイズ用に濁点・半濁点が大きくデザインされている。
上に掲げたものは,“ヒラギノ角ゴ W3”。
ヒラギノフォントは,2005 年度グッドデザイン賞を受賞した。
独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)が無償公開しているゴシック体フォント。“オープンソースソフトウェア活用基盤整備事業”の成果である。IPA 明朝と対になって展開される。
デザインはタイプバンク社が担当しており,同社の“タイプバンクゴシック(TB ゴシック)”と同様のデザインである。シンプルな字画とオーソドックスな字形を特徴とする。
上掲の見本は“IPA ゴシック”で,“全角文字”の幅は全角固定,“半角文字”の幅は半角固定である。かな・英数字が可変ピッチの“IPA P ゴシック”,ユーザインタフェース用にかなを中心に字形が異なる“IPA UI ゴシック”も同梱されている。ただし,2009 年にリリースされた OpenType 版には,“IPA UI ゴシック”は含まれない。
入手方法については,Appendix D を参照されたい。
アドビシステムズ社製の,比較的新しいゴシック体。整理された字画と明るめの表情を持つ。同社製品にバンドルされていることが多い。この書体には,制作指揮をした小塚昌彦氏の名が冠されている(小塚氏は,新ゴの制作指揮もしている)。
OpenType Pro 仕様のものには,縦組み用・横組み用の組み替えかなが搭載されている。また,同社の“りょう”かなで組み替えると,柔らかい表情が得られる。
ウェイトは,細いほうから EL(Extra Light),L(Light),R(Regular),M(Medium),B(Bold),H(Heavy)の 6 種類で,上に示したものは標準的なウェイト“小塚ゴシック R”。
モリサワ社製の,DTP ではデファクトスタンダードともいってよいゴシック体書体。Mac OS に添付されている。
ハイエンドプリンタに“リュウミン L-KL”とともにインストールされていることがあり,たとえば Windows 環境では,“MS ゴシック”が印刷時にこれに置換されることがある。