HTML では,文章や語句の引用を表す部分を作ることもできる。これは,自分の文書に説得力を持たせる有効な手段になる。また,出典を明らかにする必要もあるだろう。
ほかの文献からの長い文章の引用は,
<BLOCKQUOTE>...</BLOCKQUOTE>
で記述する。出力は,左右にインデント(両側に余白がとられる)されることが多い。
これは,<P>,<UL> のように“文書中のまとまり”の扱いで,前後は自動的に改行される。内側は,<BODY>...</BODY> と同じように書く。であるから,ふつうに文章を引用するときは,
<BLOCKQUOTE>
<P>...</P>
</BLOCKQUOTE>
のように書くことになる。<BLOCKQUOTE>...</BLOCKQUOTE> が新しく <BODY>...</BODY> になったと考えてよい。したがって,この中で箇条書きなどを記述してもかまわない。
さらには,<BLOCKQUOTE> を入れ子にして重ねて使うこともできる。
<P> 新幹線「あさま」によって消えた信越本線横川〜軽井沢間は EF63 という機関車なしでは通れない難所であった。この「峠越え」のプロトコルが行われる光景を,地元の人はこう語っていた。</P>
<BLOCKQUOTE>
<P> 横川駅のホームに停車する列車に,EF63 がゆっくりと近づいてきて,連結が行われるとき,汽笛が鳴らされる。その汽笛は周囲の山々にこだまして,自分がどこか別の国にいるような,たとえばスイスのような,そんな錯覚にとらえられることがあった。</P>
</BLOCKQUOTE>
<P> もうその汽笛も聞こえない,そんな思いもよぎることはない。さっそうと走る新幹線の切る風は,過去から未来へとわたしたちを乗せていく一方,吹き抜けたあとにぽっかりと大きな穴を残していった。</P>
結果はこのようになる。
新幹線「あさま」によって消えた信越本線横川〜軽井沢間は EF63 という機関車なしでは通れない難所であった。この「峠越え」のプロトコルが行われる光景を,地元の人はこう語っていた。
横川駅のホームに停車する列車に,EF63 がゆっくりと近づいてきて,連結が行われるとき,汽笛が鳴らされる。その汽笛は周囲の山々にこだまして,自分がどこか別の国にいるような,たとえばスイスのような,そんな錯覚にとらえられることがあった。
もうその汽笛も聞こえない,そんな思いもよぎることはない。さっそうと走る新幹線の切る風は,過去から未来へとわたしたちを乗せていく一方,吹き抜けたあとにぽっかりと大きな穴を残していった。
<BLOCKQUOTE> はブロック全体がインデントで表現されることが多いが,これを段落の字下げのために使うのは望ましくない。字下げにはスタイルシートを用いるのが適当であろう。
文中に,短い語句の引用をするときは,
<Q>...</Q>
を使う。この <Q> は <BLOCKQUOTE> とは違って,前後で改行されない。
<P> 卒業や転勤で,心のかよい会った友人と離ればなれになるのは辛いものである。作家の<CITE>井伏鱒二</CITE>は,<Q>花に嵐のたとえもあるさ,さよならだけが人生だ</Q>と書いている。人間関係に花が咲いているときに限って,別れはやってくる。人生には出会いもあるが別れに満ち満ちている。</P>
卒業や転勤で,心のかよい会った友人と離ればなれになるのは辛いものである。作家の井伏鱒二は,花に嵐のたとえもあるさ,さよならだけが人生だ
と書いている。人間関係に花が咲いているときに限って,別れはやってくる。人生には出会いもあるが別れに満ち満ちている。
日本語の引用部分は,「花に嵐のたとえもあるさ,さよならだけが人生だ」のようにかぎ括弧で囲まれることが期待されるが,多くのブラウザはまだ対応できていない。
<BLOCKQUOTE> や <Q> には,どこから引用したのかを明示する属性がある。
属性 | 値 | 解説 |
---|---|---|
CITE | URI | 原文の所在を示すURI(URL)を値にする。 |
これとは別に,引用した文献のタイトルなどの出典を本文中で明示するためには,Section 3 で解説した <CITE>...</CITE> を用いる。ふつう,これで囲まれた文字は斜体で表示され,前後で改行されない。
文書の中に他からの引用をする場合に,長い文章では <BLOCKQUOTE> を,短い語句では <Q> を使う。CITE 属性で引用元 URI を明示する。