ここでは,前節に続いて,テキストを操作するプロパティ,とくにフォントの操作を伴うプロパティを紹介する。
font-variant
プロパティ font-variant
プロパティは,スモールキャピタル体を使用することを指定するプロパティである。
font-variant:
キーワード;
このプロパティは,
normal
である。
スモールキャピタル体とは,大文字の字体を(ほぼ)そのまま小さくした小文字の字体である。たとえば,アルファベットでは,大文字“A”に対する小文字は“a”であるが,スモールキャピタル体においては,“A”に対する小文字はこの“A”を(ほぼ)そのまま小さくした字形である。
値として与えるキーワードは,次の中から 1 つである。
normal
small-caps
念のために触れておくと,font-variant
プロパティは大文字・小文字の概念のあるフォントに対してのみ適用される。
H3 { font-family: "Times New Roman", Times, serif; font-variant: small-caps; }
P { font-family: Verdana, Chicago, sans-serif; }
<H3>Oxidation and Deoxidation</H3>
<P>Oxidation and deoxidation always occur simultaneously. When the one is oxidized, the other is deoxidized.</P>
Oxidation and deoxidation always occur simultaneously. When the one is oxidized, the other is deoxidized.
font
短縮プロパティ ここで,フォントに関する短縮プロパティである font
短縮プロパティを紹介しよう。font
短縮プロパティは,font-style
プロパティ,font-weight
プロパティ,font-variant
プロパティ,font-size
プロパティ,line-height
プロパティおよび font-family
プロパティに対する短縮プロパティであるが,システムで指定されたフォントの設定を参照するという役割も持つ。
font:
font-style
font-weight
font-variant
font-size
font-family
;
font:
font-style
font-weight
font-variant
font-size
/
line-height
font-family
;
font:
キーワード;
このプロパティがフォントに関するプロパティの一括指定に用いられるとき(上記の 1 番めおよび 2 番めの書式),それぞれ指定されるプロパティの値の与え方に準ずる。ただし,font-style
,font-weight
および font-variant
プロパティに対する値は順不同で,それぞれ省略してもよい(したがって,フォントに関するプロパティの一括指定においては,font-size
および font-family
プロパティに対する値を必ず上記の順で与えなければならない;また,line-height
に対する値を与えるときは font-size
プロパティに対する値に続けて,スラッシュ「/
」を冠して指定する)。
まずは,この指定方法による例をご覧いただこう。
H3 { font: bold large Verdana, Chicago, sans-serif; }
P { font: medium/1.5 "MS PGothic", Osaka, "MS Gothic", Gothic, sans-serif; }
<H3>Oxidation and Deoxidation</H3>
<P> 酸化反応と還元反応は,つねに同時に起こっている。一方の物質が酸化されていれば,もう一方の物質は還元されている。</P>
酸化反応と還元反応は,つねに同時に起こっている。一方の物質が酸化されていれば,もう一方の物質は還元されている。
一方,このプロパティにキーワードを与える場合,そのシステムのフォントの情報を参照する。値は,次の中からひとつを与える。
caption
icon
menu
message-box
small-caption
status-bar
この指定方法では,キーワードによって示されるフォントに,ファミリ,サイズ,ウェイトおよびスタイルなどが同時にセットされる。もし,システムが上記のフォント情報をもたない場合(たとえば,small-caption
に相当するフォントがない場合),適当な代替措置がなされるか,デフォルトのフォントが使用される。
P { font: message-box; }
<P> 酸化反応と還元反応は,つねに同時に起こっている。一方の物質が酸化されていれば,もう一方の物質は還元されている。</P>
酸化反応と還元反応は,つねに同時に起こっている。一方の物質が酸化されていれば,もう一方の物質は還元されている。
font
短縮プロパティによるシステムフォントの参照は,CSS2 より盛り込まれた。