Hints of fonts on the web―Web におけるフォントのヒント

Section 8:セリフ欧文(3)

 前節に引き続き,セリフ欧文書体を紹介していく。

セリフ欧文(3)

Cooper Black

Cooper Black

 もともとは,オスワルド・B・クーパー(Oswald B. Cooper)が自らの“Cooper Old Style”をもとに,極太書体として 1926 年にデザインしたもの。ラウンド処理された肉厚のセリフが,極太のデザインと相まって力強さとやさしさを醸し出している。

 Microsoft Office に添付されていることがある。ミッドレンジ以上のプリンタにインストールされていることもある。

 また,“Cooper”ファミリとして,細いウェイトへ展開されてもいる。

Bell

Bell

 Microsoft Office 2003 に付属する。細い横画と,抑揚のある縦画が特徴。テキストに適する。

 “Bell Gothic”という別の書体がある。

Bernard

Bernard Condensed

 Microsoft Office 2003 に付属する(Condensed 体;2005 年 8 月現在,ファミリはこれのみ)。見出し向けの,幅の狭いセリフ書体。“i”“j”などの点にアクセントがついている。

Californian

Californian

 Microsoft Office 2003 に付属する。フレデリック・ガウディが,1939 年,カリフォルニア大学のためにデザインしたのがはじまり。

Centaur

Centaur

 Microsoft Office 2003 に付属する。1914 年,メトロポリタン美術館のためにデザインされた。低めのエックスハイトで,優美な雰囲気である。

 イタリック体(Office には付属しない)は,実はもともとは別の書体で,発売時に組にされて Centaur のイタリック体となった。

Footlight

Footlight Light

 Microsoft Office 2003 に細いフェイス(Light;上掲の見本)が付属する。最初にイタリック体(Office には付属しない)が作られ,次いで正体がデザインされた。正体には,イタリック体から受け継いだ手書きの味わいが残っている。

High Tower Text

High Tower Text

 Microsoft Office 2003 に付属する。1994 年のデザイン。古いスタイルをブラッシュアップしたセリフ書体。本文に適する。

Lucida Bright

Lucida Bright

 Microsoft Office 2003 に付属する。Lucida シリーズの,セリフ体のひとつ。テキストが大きく見え,小さいサイズでの使用にも堪えうる。

Lucida Fax

Lucida Fax

 Microsoft Office 2003 に付属する。Lucida シリーズの,セリフ体のひとつ。ファクシミリや低解像度の画面などに向いている。これも,小さなサイズでの使用に堪えうる。

Modern No. 20

Modern No. 20

 Microsoft Office 2003 に付属する。横画が細く,縦画が太いモダンなセリフ体。見出しなどに適するが,小さなサイズでの使用にも堪えうる。

Niagara

Niagara Solid

 Microsoft Office 2003 に付属する。幅がひじょうに狭いセリフ体。幾何的なデザインが特徴。Office には上掲の“べた塗り”の“Niagara Solid”のほかに,“彫り込んだ”ような“Niagara Engraved”も付属する。

Onyx

Onyx

 Microsoft Office 2003 に付属する。幅がひじょうに狭いセリフ体。主に見出し向き。

Poor Richard

Poor Richard

 Microsoft Office 2003 に付属する。低めのエックスハイトが特徴的。

Galliard

Galliard

 16 世紀のロバート・グランジョン(Robert Granjon)の活字を,マッシュー・カーターが再解釈してデザインした書体。

Officina Serif

Officina Serif

 Officina Sans と対になるセリフ書体。小さな文字がコピー機にかけられても,ファクシミリで送られてもつぶれたり判読不能になったりしないように工夫されている。

Stone Serif

Stone Serif

 高めのエックスハイトの,セリフ欧文書体。サンセリフ版の Stone Sans もある。

Stone Informal

Stone Informal

 Stone シリーズの 1 ファミリ。全体的な特徴から,ここではセリフ系に分類する。多くのセリフ欧文に比べると,省略されたセリフがあり,くだけた印象になっている。Stone Informal は,プライベートな文書のための書体としてデザインされた。

PMN Caecilia

PMN Caecilia

 1990 年のデザインのスラブセリフ系書体。字画の太さの差が小さく,エックスハイトは高め,開口部は広めの可読性を考慮したデザインである。

Linotype Centennial

Linotype Centennial

 1986 年,アドリアン・フルティガーによって,ライノタイプ社の 100 周年記念のために制作された。

 Century の影響を受けつつも,現代的に仕上げられている。

Souvenir

Souvenir

 もとは 1914 年のデザイン。これを 1970 年前後に改刻,ウェイト展開した。柔らかで明るいイメージ。

Americana

Americana

 ひじょうに高いエックスハイトと,広い文字幅が特徴。見出しや短いテキストに向く。

Serifa

Serifa

 1967 年,アドリアン・フルティガーによるスラブセリフ系書体。骨格は Univers をもとにしている。可読性に優れ,さまざまなテキストに適する。

Memphis

Memphis

 1929 年デザインの,ジオメトリックスラブセリフ系書体。

 ビットストリーム社の互換フォントは,“Geometric Slabserif 703”。

Egyptienne

Egyptienne

 1956 年,アドリアン・フルティガーによる,スラブセリフ系書体。セリフの処理のされ方が,Clarendon に似る。低解像度での利用にも適する。

 ビットストリーム社の互換フォントは,“Humanist Slabserif 712”。

Warnock

Warnock

 アドビシステムズ社創業者のひとり,ジョン・ワーノック(John Warnock)からファミリ名がとられている。2000 年,ロバート・スリムバックのデザイン。古典的な雰囲気と,現代的な雰囲気をあわせ持っている。

 OpenType Pro フォーマットで提供されており,欧州言語を幅広くカバーする文字種と,多彩なタイプセッティングに対応する文字種が収録されている。ウェイトは Light,Regular,Semibold,Bold の 4 種類,それぞれに通常のタイプ・キャプション用・見出し用・小見出し用が用意され,32 フェイスから構成されている。

BitStream Cyberbit

BitStream Cyberbit

 ほとんどすべての言語の文字をカバーする,ビットストリーム社から無償提供されていたセリフ書体。和文グリフも含まれており,これは Section 14 で改めて紹介する。